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防衛費「5兆円」増額論うけ他施策と比較 玉川徹「日本の諸問題を解決できる金額」

   テレビ朝日の玉川徹が仕切るコーナー「そもそも総研」のテーマは、「そもそも『GDP比1%=約5兆円』という予算で何ができるのだろうか?」。

   玉川は「誤振込の4630万円ならまだしも、5兆円といわれてもピンとこない。自民党は防衛費の増額を政府に提言し、5年以内に対GDP比2%以上も念頭に増額を目指すとしていますが、GDP比1%=5兆4200億円で何ができるのか、専門家に聞いてみました」と切り出した。

  • 番組サイトより
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「医療費窓口負担ゼロ」や「家賃補助充実」など

   NPO法人「ほっとプラス」理事で聖学院大学客員准教授の藤田孝典氏は「生活に必要な医療、教育、保育、介護などのベーシックサービスを整理すべきと提言している」と話す。

   例えば医療費の窓口負担は4兆~5兆円でゼロにできると藤田氏は言う。英国、イタリア、ドイツでは窓口負担ゼロになっているそうだ。藤田氏は続けて、貧困世帯への手当ても可能だと言う。年収200万円以下の貧困家庭が984万世帯あるが、その80%に5万円の家賃補助ができるという。現在日本では5942億円の家賃負担が実施されているが、これは生活保護による家賃負担。対GDP比で0.1%でしかない。これが英国では1.38%、フィンランドでは0.88%、ドイツでは0.73%、フランスでは0.69%だという。藤田氏は「20~40%の世帯で住宅費負担が重いと感じている。これに補助が出せれば、そのぶん消費や教育にお金を回せる」と指摘した。

   京都大学大学院人間・環境額研究科の柴田悠准教授は「幼児期は教育の基礎」と言い、「1兆円で保育士・幼稚園教員の賃金を386万円から487万円に上げられる。さらに3000億円あれば保育士・教員を増員できる」と話す。次に優先すべきは「高等教育の学費軽減」で、「3兆円規模でそれができる」と柴田准教授は言う。そして「合わせて4.3兆円。これで出生率を2.07まで上げることができる。少子化対策になる」と話す。フランスでは大学の授業料を無料にしたところ、1993年に1.66だった出生率が2010年に2.02になったという。

   玉川は「5兆円というのは結構使い出があることがわかった。暮らしやすくするという意味では、病院の窓口負担がゼロになり、住宅の補助もできる、教育への投資で出生率も上がる。日本の大きな問題が解決できるかもしれない」と言う。

   社会活動家の石山アンジュは「成長の種は将来世代で、そこに予算をかけないのは将来の成長の種を積んでしまうことになる。人口が減っているので、効率化が必要になるが、それには教育にお金をかけていくべきだと思う」とコメント。

   森山みなみアナは「友人に保育士さんがいるが勤務時間が長く、持ち帰っての仕事もあるそうで、プライベートの時間がない。増員できれば余裕ができるのでいいと思う」と話す。

   司会の羽鳥慎一は「防衛費の増額は今の情勢では必要だと思いますが、5兆円にはこんな使い方もあるということを考えながら、防衛費の増額を行うことが必要だと思います」とコメントした。

   玉川は「5兆円は日本の諸問題を解決できる金額だということをわかっていただけたかなと思う、今日のそもそも総研でした」とまとめた。

(バルバス)