「まさか現実に蓬莱学園が出来るとは...!」──。
香川県丸亀市に実在する学校法人・藤井学園が、2026年4月から学園名を「蓬莱学園(ほうらいがくえん)」に変更すると発表した。これを受けて、1990年代に登場した、架空の同名校を舞台とする人気メディアミックス作品「蓬萊学園」シリーズのファンがXでざわついている。
藤井学園はJ-CASTニュースの取材に、指摘を受けて事態を把握したといい、「名称が重なることで誤解や混乱を招く可能性があることを真摯に受け止め、丁寧に対応を検討してまいります」と答えた。「本学園は教育機関としての立場から、他者の創作活動を妨げる意図は一切ございません」と説明している。
過去にスーファミ用ソフト化など、5月に新作小説が始動
藤井学園は香川県藤井中学校、香川県藤井高等学校、藤井学園寒川高等学校を展開しており、23年に創立100周年を迎えたばかりだ。25年7月14日に公式サイトで「蓬莱学園」への名称変更を発表した。「これまでの伝統を大切にしながらも、新たな時代にふさわしい学びの場として進化するため」などという。
Xでは8月ごろから情報が拡散され、「まさか現実に蓬莱学園が出来るとは...!」「古のオタク歓喜」「エイプリルフールじゃないのね」「目指すは生徒数10万人だろうか」などの声が上がり、話題になった。
変更後の学園名が、新字と旧字の差はあるものの、ゲーム会社・遊演体が手がけた商業作品から派生する「蓬萊学園」シリーズの名前と重なるというのだ。
「蓬萊学園」シリーズは、始めは1990年代に「プレイバイメール」(PBM)という郵便を使ったロールプレイングゲームとして登場。スーパーファミコン用ソフトや小説にもなり、破天荒な超巨大学園の生徒らが織り成す物語で人気を博した。近年は動きがなかったものの、25年5月にゲーム情報サイト「4Gamer.net」上で新作小説「蓬萊学園の揺動!」の連載が始まった。
このような背景があってか、藤井学園との関係によっては作品展開に支障をきたすのではないかと懸念する声もみられている。
丸亀城=蓬莱城の「歴史的呼称に由来」
藤井学園は8月25日に公式サイトで、「学園名変更に伴うお問い合わせについて」と題したお知らせを出した。「新たな名称を『蓬莱学園』と定めましたところ、過去に同名の商品・サービスが存在していたとのご指摘を頂いております」と報告したうえ、命名由来を、
「本名称は、丸亀城が古くより『蓬莱城』と呼ばれ、地域の皆さまに親しまれてきた歴史的呼称に由来しております。また、本学園藤井中学校・藤井高等学校校歌の歌詞にも『蓬莱城』がうたわれており、伝統と文化への敬意を込めて採用いたしました。さらに『蓬莱』には、理想郷を象徴し、未来を担う若人の成長と学びを支える場としての教育理念を重ねております」
と説明。「現在、事実関係を確認中でございますが、この度の件により皆さまにご心配をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。今後も丁寧に状況をご説明し、地域に根差した学園運営に努めてまいります」とした。
名称変更する際は、「蓬萊学園」シリーズを知っていたのか。藤井学園・事務局はJ-CASTニュースの取材に対して26日に応じ、
「ご指摘をいただいた際に初めて詳細を承知いたしました。現在も創作活動が継続されていることを確認し、関係者の皆さまに敬意を表しております」
と答えた。「名称が重なることで誤解や混乱を招く可能性があることを真摯に受け止め、丁寧に対応を検討してまいります」とのことだ。
「相互理解を大切にしてまいります」
今後のシリーズ展開を懸念する声が出たことをめぐっては、「本学園は教育機関としての立場から、他者の創作活動を妨げる意図は一切ございません」と見解を示した。作品と棲み分ける考えや、コラボの可能性を尋ねると、
「今後も既存の創作活動を尊重し、関係者の皆さまとも誠意をもって対話を重ねながら、共存できる道を模索したいと考えております。具体的な協力や連携については現時点では未定ですが、相互理解を大切にしてまいります」
と述べた。事務局は「今回の名称変更にあたり、地域の歴史と伝統を尊重しつつ、未来志向の教育を実現するために『蓬莱学園』と名付けました。今後も地域社会と共に歩みながら、生徒一人ひとりが夢や希望を育める学園づくりに取り組んでまいります」とコメントしている。
あの巨大学園が帰って来た! 次週よりスタートする新連載「蓬莱学園の揺動!」に先駆け,その世界観をざっくり紹介https://t.co/LEcceBJmNY
— 4Gamer (@4GamerNews) April 26, 2025
5月3日開始の小説連載に先駆け,当時のプレイヤーの1人である森瀬 繚氏が,その成り立ちと世界観を解説する pic.twitter.com/XlLITmghfM