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「ブラックジャックによろしく」 「スピリッツ」移籍の真相

    日本の医療現場で奮闘する研修医の姿を描いた大ヒット漫画「ブラックジャックによろしく」の続編が「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載されることになった。この作品はもともと講談社の「週刊モーニング」で連載されていたもので、ライバル誌への「大型移籍」は業界に波紋を呼んでいる。

    漫画家・佐藤秀峰さんの「ブラックジャックによろしく」は、医療現場で様々な現実に向き合いながら奮闘する新米研修医・斉藤英二郎の姿を描いた作品。05年末まで「モーニング」に連載された。

大ヒット作が途中で他誌に移籍するのは異例

スピリッツ6・7合併号の次号予告に「新ブラックジャックによろしく」が大々的に登場
スピリッツ6・7合併号の次号予告に「新ブラックジャックによろしく」が大々的に登場

    綿密な取材に基づいた詳細な描写が話題を呼び、単行本の発行部数も計1,000万部を超えている。さらに、03年にはTBS系列でドラマ化され、人気俳優・妻夫木聡さんが主人公を演じて、人気を集めた。02年には筆者の佐藤さんが「第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門」で優秀賞を受賞している。

    こうした大ヒット作が連載途中で他誌に移籍するのは異例中の異例。「モーニング」の古川公平編集長はJ-CASTニュースの取材に対し、

「うちの大ヒット作品だったし、取材も一緒にやってきたので、うちでやってもらいたかった。(連載再開に当たって)佐藤さん(作者)が提示した”条件”に答えるべく交渉してきたが、折り合いがつかなかった」

    と落胆した様子を隠さなかった。なお、佐藤さんが提示した“条件”については、「条件の内容については答えられないが、それ(金額面で前より厳しいものだったのか)は類推にお任せする」と答えるにとどまった。
   しかし、単に金額面での条件で作者が「スピリッツ移籍」を敢行したとする説を疑問視する指摘もある。あるマスコミ関係者は、

「賞までとって作者は講談社に相当な恩義があるはず。それを金額面だけで鞍替え、というのは考えにくい。この作品は、たとえば『精神科編』などでは、社会のタブーにかなり踏み込んでいるから、これまで批判もかなりあったのではないか。この辺を巡って行き違いがあったのかもしれない」
   と推測する。

理由巡って様々な憶測が飛び交う

    また、別の編集者も「作家はいろいろ言うから、お金だけとは限らない」と語っており、様々な憶測が飛び交っている。
   インターネットの掲示板2ちゃんねるでも「スピリッツ移籍」の第1報からカキコミが急増し、

「金だろうな。小学館だし」「佐藤がごねて要求を拒否され前に海猿かいてた小学館に逃げたか?」「手塚によろしくという新人漫画家が原稿料でごねる作家と連載をやめさせない編集部に不条理を感じつつ漫画を描いていくストーリー出せよ」

    などと反響を呼んでいる。

    J-CASTニュースは、当の「スピリッツ」にも取材を申し込んだが、担当者は不在。結局、移籍の真相についてははっきりしたことは分かっていない。
   新連載の「新ブラックジャックによろしく」は、07年1月22日発売の「スピリッツ」で、巻頭カラー34ページが一挙掲載される。