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出会い系でサクラ被害 パソコンの前に女性たちが

   出会い系サイトで、サクラに誘われてお金を取られる被害が増えている。元男性アイドル登録という怪情報までエサに使うという、その手口とは。

マンション売却収入1860万円の提供示唆も

ブログでサクラサイトを暴露
ブログでサクラサイトを暴露
「お小遣い(3~5万)程度のお金しか用意すること出来ないですけど、異性との出会いが全くない私と会ってもらえませんか(涙)?」

   これは、ブログ「悪質出会い系サイトを解体。by メチ公」で紹介されたサクラとみられる女性からのお誘いメールだ。この出会い系サイト名は、「ご近所サーチ」で、メールの女性は「飯田絵里(OL)」と名乗っていたという。

   2009年7月25日付の新聞各紙によると、サイトを実質的に運営していたのは、東京・新宿のシステム開発会社「フリーワールド」。07年9月期に約3億3000万円もの所得を隠し、法人税約1億円を免れたとして、東京国税局から法人税法違反(脱税)の疑いで東京地検に告発されたと報じられている。

   同社は、ダミー会社7~8社を通じて、前出の「ご近所サーチ」や「マリアージュ」といった延べ10~20の出会い系サイトを運営していたという。いずれもポイント制で、サイトを閲覧したり異性にメールを送ったりするとポイントが減る。最初は無料のサービスポイントが付くが、その後はダミー会社の口座にポイント分を入金するシステムだ。

   ネット上では、これら出会い系サイトの評判は悪いようだ。

   例えば、出会い系レビューサイト「出会い系サイトってどうよ?」では、サクラとみられるメールが1日に15通も届き、受信でもポイントが取られると報告されている。ポイントは次第になくなり、勝手に自動追加されたともいう。

   前出のブログによると、お金は数万円をあげるばかりでなく、マンション売却で入った1860万円提供を示唆するケースもあった。「ご近所無料サーチ」に登録したら、いつの間にか有料の「ご近所サーチ」でメールさせられていたといったことも挙げられている。

   朝日新聞の25日付夕刊記事によると、元男性アイドルが登録しているといううわさが流れ、これらのサイトには、女性客の方が多いのだという。

「コメントを差し控えさせていただきます」

   J-CASTニュースでは、こうした情報の真偽を確かめようと、フリーワールドに取材した。しかし、電話に出た男性は「よく分からない」と繰り返し、しばらくして出てきた別の男性は「私の方は把握していませんので、コメントを差し控えさせていただきます」と言っただけで、電話を切った。

   朝日によると、サイト実質運営のフリーワールドは、新宿の古いビル2階にあり、120台ものパソコンの前にサクラとみられる若い男女のスタッフがいた。取材に対しては、「異性に安易に会えると考える利用者も多いので、サクラを使って『恋愛教育』をしてあげることはある」と話したという。

   出会い系サイトの被害については、東京都消費生活総合センターにも、毎月数件は相談が入っている。「お金をあげるとか、芸能人に会えるとか、うまい言葉で冷静さを失わせるようです。それで、会う約束をしてもドタキャン続きなどとなり、有料ポイントがどんどん消化されていくわけです」(相談担当係長)

   国民生活センターが全国の相談件数を集計したところ、減少していた件数が2006年度を底に再び増加に転じ、08年度は、その1.4倍に当たる3万5000件ほどにまで達している。女性に限れば、すでに04年度から増加しており、08年度には、その3倍にあたる34%もの割合を占めるようになっている。出会い系サイトは、このところの婚活ブームもあってか、女性の関心が高まっているようだ。

   サクラに引っかからない方法として、同センターの情報部では、特定商取引法上、表示義務がある会社名、所在地、電話番号をよくチェックすべきだとする。フリーワールド実質運営のサイトでは、こうした情報が十分ではなかった。

「ただ、書いてあるからといって安心ではなく、悪質なサイトとの区別は難しいのが現実です。へんだなと思ったら、すぐに利用を止めたり、地元の消費生活センターに相談したりすることが大事でしょう」