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<ビジネス敬語2>電話の相手の声が聞き取りにくいときは?

   会社にかかってきた電話にきちんとした応対できることは、ビジネスパーソンの基本です。応対次第で会社に対するイメージも左右されます。小さなトラブルでもマナーを心得て、適切に応対するようにしましょう。

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「相手の落ち度」を指摘する表現は避ける

   電話を取って応対したBさん。しかし相手の声が小さく、滑舌も悪くて何を言っているのかよく聞き取れません。もう一度言ってもらわないと、電話を取り次ぐことすらできません。どのように伝えれば、相手に不快な思いをさせずに言い直してもらえるでしょうか?

A.ちょっとお声が小さくて聞き取りにくいです。もう少しはっきりしゃべっていただけますか?
B.大変申し訳ございません。もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか?
C.恐れ入りますが、お電話が遠いようなので、もう一度お願いします。

   分かりましたか? 答えはBです。ポイントは、たとえ先方のせいで聞き取りにくかったとしても、それを指摘するのは失礼だということ。こちらの落ち度としてお詫びしてから、もう一度言ってもらいます。


ポイント1:「お詫び」の法則

   聞き返すことを、まずお詫びしましょう。理由はどうあれ、同じことをもう一度言ってもらうことになるのですから、そのことに対して謝ります。お詫びしてからもう一度とお願いすれば、相手も不快な思いをしなくてすみます。

ポイント2:「ポジティブ変換法」の法則

   相手の非を指摘する言葉は使わないようにしましょう。Aのように「お声が小さくて聞き取りにくい」というネガティブな情報を伝えると、相手を責めているように受け取られます。Cの「お電話が遠いようなので」も、結果的には同じことになります。なお、Aの「しゃべって」はくだけた言葉遣いなので、「お話しして」と言い換えます。

ポイント3:「クッション語」の法則

   お願いは伺いを立てる形で。言い直しをしてもらうときは「伺ってもよろしいでしょうか?」という形で伺いを立てる方が、その後のコミュニケーションも円滑に進みます。

「・・・でよろしかったでしょうか」はNG

   友だちと話しているときに使う「若者言葉」はNGです。「そんなバカな・・・」と思う人もいるかもしれませんが、研修などで耳にした表現を挙げています。うっかり言わないように注意しましょう。


NG1:「確認しますけど、○○様でよろしかったでしょうか?」

   「よろしかったでしょうか?」は若者言葉の典型。正しくは「○○様でいらっしゃいますね?」となります。「確認しますけど」も子どもっぽい言い方で、ビジネスにはふさわしくありません。

NG2:「なにげに聞き取りにくいのですが、もう一度お願いできますか?」

   「お願いできますか」は「お願いできますでしょうか」とすれば、より丁寧です。「なにげに」は言うまでもなく若者言葉ですので、使うべきではありません。

NG3:「すみませんが、一応復唱してもらえると助かります」

   「復唱」は自分がするときの言葉であって、相手に対して使うものではありません。「一応」も何に対して一応なのかがわからず、あいまいな印象を与える若者言葉です。


   電話は相手の表情が見えないので、応対にはより一層の気づかいが必要となります。それだけに、電話対応で相手によい印象を持たれれば、それがあなたのみならず、会社全体への評価につながるのです。声だけでも十分に誠意が伝わってくる。そんな応対が身につけば、今後の仕事にもきっといい影響をもたらしてくれることでしょう。

西出博子

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