「オイ! お前のとこでカードの支払い遅れたら、他のカードも使えなくなったじゃねぇか!! どうしてくれるんだコノヤロー!!」
「も、申し訳ございませんー!」
今日も今日とて、コールセンターにクレームの電話がかかってきました…。私の働くコールセンターに多く寄せられる苦情のひとつに、この「カードが使えなくなってしまった」というモノがあります。
お約束いただいた期限までに入金いただけないと、カードは一時的に使えなくなりますが、さらに延滞が長期に及んだ場合、私の会社の場合はカードが自動解約(会員資格の失効)となり、買い物もキャッシングも二度と利用できなくなってしまいます。
それを知らずに、お客さまがお店で買い物をしてカードを使おうとしても使えず、
「店で恥をかかされた! 責任を取れ!」
と怒り心頭で電話がかかってくることも多くあるのです。
まあカードが一枚使えなくなったくらいでは、お客さまは痛くも痒くもないと思うのかもしれませんが、一社でも長期延滞になると、他の会社のカードも使えなくなってしまい、さらにどこかで借入をする時に審査が通りにくくなってしまいます。
なぜそんなことが起こるかというと、お客さまの状況は「信用情報機関」を通じて各社で共有されているからです。
例えばAさんが、カード会社に新規にカードの申し込みをしたとします。するとカード会社は、信用情報機関にAさんの情報を問い合わせて、
「このお客さまは、他社でキャッシングもそんなに利用していないみたいだし、延滞の記録もない。カードの発行と、○○万円までの利用額設定OKだ!」
と審査をしてカードの発行を行うわけです。また、カード会社は定期的にお客さまの信用情報の確認を行っているので、一社でも長期の延滞が発生すると、
「げっ、Aさんったら、××カードで3か月延滞してる!? 貸し倒れになったら困るから、うちのカードも出金を止めよう!」
と判断されて、支払いが遅れていない他社のカードも使えなくなってしまうのです。
信用情報機関は、元々は個人向け融資をしている会社が自助的に寄り集まり、信販会社や消費者金融、銀行など業界ごとに作られていました。
このため、情報もバラバラに管理されており、以前はカード会社で長期延滞をしても、消費者金融や銀行ではお金が借りられることもありました。
しかしいまでは、各社は借入金額や過去の延滞の有無といった顧客情報を共有しているので、そういったことはできなくなりました。改正貸金業法の指定機関制度で、各機関は情報をきちんと管理し、過剰貸付を防ぐ役割を担うことになったのです。
よく、カードの支払いが遅れると「ブラックリスト」に載るなんて言われていますが、実際にはそのようなものは存在せず、お客さまのカルテのようなものに延滞の記録が残るというのが正しいのです。
信用情報はカードやキャッシングの審査だけでなく、住宅や車のローン、携帯電話の分割支払いを組む際にも参照されています。延滞情報は数年たてば消えますが、残念ながら信用情報の存在を知らず、若いうちに信用情報にキズをつけてしまうお客さまも結構いらっしゃいます。
20代でローンや分割支払いが組めないと、困ることも多いと思います。ぜひ知識をつけて信用情報を大切にしていただきたいと、遠くのコールセンターから願っています。(N本=えぬもと)