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就活生にOB・OG訪問が「得策」な理由――リクルート・岡崎氏に聞く

   就活戦線の火ぶたが切られて2か月。そろそろ腰を上げようかと考えながら、何から手をつければいいのか思い悩んでいる学生もいるだろう。

   参考までに、直近の先輩たちの「反省の弁」を見てみてみよう。リクルートの『就職ジャーナル』が2013年春卒業予定の大学4年生、大学院2年生に「就活を始めるころに戻れるとしたら、何に注力しますか?」と尋ねたところ、「企業研究」が60.1%でトップとなったという。

   一般的に苦労すると言われる「自己分析」の55.5%を上回っており、「己の強みを模索するより、相手を知る努力を優先すべきだったかな」と嘆く先輩たちの声が聞こえてきそうだ。3位には「業界研究」(40.5%)も入っている。

「社会人慣れ」の機会にも。仮説を立てて聞いてみよう

「OB・OG訪問」を実行に移した人は2割。人から直接得る情報はリアルなのだが…
「OB・OG訪問」を実行に移した人は2割。人から直接得る情報はリアルなのだが…

   企業研究や業界研究のための書籍は、すでに多種多様なものが出ている。しかし社会人経験のない学生が読んでも理解の取っかかりがなく、頭に入ってこないものだ。

   そこでつい「福利厚生」や「離職率」ばかりが気になり、働く上で重要な「業界の成長性」や「会社の競争力」の分析がおろそかになってしまうのだ。来年の福利厚生など、業績次第でどうなるのか分からないのだが…。

   社会人になったときに、何が重要と感じるのか。それは社会人に聞いてみるのが一番の早道だが、なかなか億劫で踏み込めない。手っ取り早い「OB・OG訪問」も、前述のアンケートで実行に移した人は2割足らずにとどまっている。

   「リクナビ」編集長の岡崎仁美氏は、OB・OG訪問は就活初期の活動として重要なので、「志望動機が書けない」と思っている人は特に、3月末までに積極的に取り組むことを勧めている。

「興味のある業種にOB・OGがいたら、本格的な面接選考が始まるまでに、ぜひアポを取ってみましょう。後輩から頼られて嫌な顔をする先輩は少ないものですが、何の準備もせずに会うのは失礼です。自分なりに調べたことを元に仮説を立て、それをぶつけて検証する場所にするといいと思います」

   仮説は、間違っていてもいい。業種を決めかねている場合でも、まずはOB・OGに相談したいことを伝え、その先輩の言葉を通じて「現場のリアリティ」を肌で感じることが役に立つという。

   本番の面接に向けて「社会人慣れ」しておく場にもなるし、自分自身の志望動機の軸をはっきりさせる、よい機会にもなるだろう。

まずは入社3年目程度の近い年代から選んでみては

   すでに就活を終えた先輩たちからも、OB・OG訪問をもっとやればよかったという声があがっている。大学院の理学研究科を修了予定の男子学生は、『就職ジャーナル』のアンケートに「これほど有益だと分かっていたら、もっと早く始めたのに…」と答えている。

   一方で、人文系学部を卒業予定のある女子学生のように、複数のOB・OGに会って話を聞いたという人もいる。

「就活には『縁』もあると思ったので、ありのままの自分を受け入れてくれる会社がないかと、たくさんの先輩に会いました。幅広い会社を知ることができたおかげで、自分らしく働けそうな会社に巡り会えました」

   訪問先は、大学のキャリアセンターやSNS、ウェブサイトなどの情報源から選定できる。ただ、「どんな人を訪問したらいいのか…」と迷う学生がいるかもしれない。

   岡崎氏によると、そのような場合、まずは入社3年目程度の近い年代から選んでみるのがよいという。リーマン・ショック後の就職活動を経験したリアルな実例や、入社する前の生々しい心境など、年代が近いほうが気軽に質問しやすいだろう。

   ただし、中小・中堅企業の経営陣に年配のOB・OGがいる場合には、思い切って直接手紙を出して思いを伝えるのも手だという。もしも熱意が伝われば「ぜひウチで働いて欲しい」という展開になるかもしれない。奥の手として、頭の隅に入れておいてはどうだろうか。