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「既得権側に行きたい」大学生の落とし穴

   私は今、カンボジア・プノンペンで生活をしています。

   家は、私が取り組んでいるサムライカレーの側のマンション。フィリピンの時のようにホテル住まいではないのですが、東京のワンルームマンション級の価格で、2ベッドルーム、1リビング、週に2回の掃除付きの部屋に住んでいます。

   この部屋の地味にいいところは、バス・トイレが2つあるところです。

   妻と2人暮らしで、トイレとバス(バスタブ付き)が2セットあるというのが無意味なように思えたのですが、あったらあったで便利です。

「バス・トイレが2つ」に慣れてしまうと・・・

日本よ、これが2ndバスルームだ。なくてもいいんですが、あったら便利
日本よ、これが2ndバスルームだ。なくてもいいんですが、あったら便利

   夜、疲れて帰ってきた時に、2つのバスに同時にお湯を入れて風呂に入ったり、そのまま長時間半身浴をしたり、妻が化粧をしている間にもトイレに行けたり。地味にストレスがかからない生活になるのです。

   最近では、これが習慣になっており、バス・トイレが1つしかない部屋はイヤだなあと思うようになってきてしまいました。

   もちろん、これはコストパフォーマンスを考えると効率的ではありません。特に東京などの地価の高いところでは、考えられない選択肢です。でも、一度便利な体験をしてしまうと、それを手放すのはなかなか難しくなってしまうのです。

   我々の生活にもこういう物はたくさんあります。

   年功序列や正社員の解雇規制みたいなところもそうですし、「水道から出る水が飲めなきゃイヤ」とか「24時間営業のコンビニが徒歩圏内にないと生きていけない」などもそうです。

日本よ、これが既得権だ

   今、日本の大学生に対するアンケート結果を調査しています。数字をみると、圧倒的多数の学生が「既得権」側に行きたいと切に願っていることが分かります。大企業や公務員ですね。

   これは不思議ではないことで、バスが2つある生活の方が便利だし、快適なのと同じです。

   とはいえ、私のようにバスが2つある部屋じゃないと生きていけない!ということを言い出すと、引っ越しできる部屋、街が圧倒的に制限されてしまい、人生の自由度が下がってしまいます。

   これからの日本、既得権側の椅子はどんどん少なくなっていきます。既得権側を目指すと同時に、既得権がなくなった時にどうやってサバイブしていくかも考えておかないと、いきなり梯子を外された時、困ったことになりますよ。

   私も、時々部屋にお客さんを泊めて、バスがひとつしかない生活をして、次の引っ越しに備えておきます。(森山たつを)