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ネットジャーナリズム・アンケート結果(中)
メディア扱いするか企業は迷う

   ブロガーや小規模なネットニュースサイトが取材を申し込んでくるケースは日本ではまだ少ない。ただ、メディアとしてどう扱うかに気を使っているのがアンケート結果から透けて見える。

米国ではブロガーが企業に取材する例も
米国ではブロガーが企業に取材する例も

   「ブロガーや小規模なネットニュースサイトが取材を申し込んでくるケース」の有無については、「事例がない」というのがほとんどだった。

「投資家として問い合わせをネットに書き込む例はある」(サイボウズ
「ブロガーからはないが、一部小規模なネットニュースから電話で問い合わせがきたケースがある」(ソフトバンク
「メルマガからの取材依頼はある」(テレビ東京

   まだ米国のように、取材がどんどんくるという状態にはなっていないのは確かだ。

「回答は見合わせたい」最大の理由

   その一方で、ブロガーや小規模なネットニュース サイトの扱いについては気になっているようで、「ネットニュースはメディアとして扱う。ニュースリリースも希望があれば配布する」(サイボウズ)「ネットニュースについては広報担当から適宜対応する。ブロガーや小規模なネットニュース サイトを排除するものではない。取材等の申し込みについては精査の上対応する」(ソフトバンク)。
   ネット取材そのものがまだ黎明期にあることもあって、アンケートそのものに、「回答は見合わせたい」「回答しづらい」「ノーコメントとさせていただきたい」は25社・団体にのぼった。ブロガーやネットニュースとの付き合い方について、スタンスをどこに置いたらいいのか迷っているのが最大の理由だと思われる。「回答は見合わせたい。理由は、ブロガー等への対応はお答えする内容ではないから」(日本電信電話)。なぜ答えられないのか、はっきりした理由は不明だ。
   しかし、企業側の本音は――積極的に受け入れてもいいが、どんどん(取材に)こられても対応ができず、こまってしまう。ただ、逆に、ブロガーは受け入れない、とか、取材は拒否といった方針を鮮明に打ち出すと、ネット上で『攻撃』をうけるのではないか――。「そんなことがあって、ノーコメントとさせてほしい」と明かす企業もある。
   KDDIは「そもそも(ブロガーと)一般人との判別が難しい」と悩みを漏らす。

ビッグビジネス、大手マスコミは消極的

   さらに「ブログや小規模なネットニュースはメディアとして認識していない。そうしたところから取材があった場合は、書面での回答は控えさせていただき、電話で雰囲気を伝える程度にしている」(大手電機メーカー)という対応を明らかにする企業もある。ただ、ビッグビジネスはこうした考えが主流だと思われる。
   なかでも回答に消極的だったのが大手新聞社、テレビ局だ。テレビ東京を除くと軒並み以下のような回答だった。

「ブロガーから取材が来た事例がない」(東京放送
「回答しづらい内容のため、見合わせたい」(読売新聞社
「回答できない」(テレビ朝日
「回答は見合わせたい」(朝日新聞社
「回答は見合わせたい」(日本経済新聞社
「ブロガーから問い合わせがあった事例はなくはないが、ほとんどないといってもいい。それに取材というものは、個々の人間関係によるものなので、一概にはいえない」(フジテレビジョン

   こんな具合で、大手新聞社、テレビ局からは、アンケートのどの項目にも回答が得られなかった。ブロガーにとって取材の敷居が高く、取材事例が少ないせいもあるが、大手マスコミ側がブロガーやネットニュースの存在の重要性に気がついていないこともあるようだ。

   質問項目と内容は以下の通り。

1. ブロガーや小規模なネットニュース サイトが取材を申し込んでくるケースはありますか。あれば、差し支えない範囲でどんな中身で、どのような取材方法、態度だったかお知らせください。
2. ブロガーや小規模なネットニュース サイトをマスコミとして扱っていますか。扱っている場合は、具体例をお教えください。除外されている場合は、その理由、基準をお知らせください。
3. ニュースリリースをブロガーや小規模なネットニュース サイトに送付、配信していますか。
4. 記者会見にブロガーやネットニュース サイトの「記者」が参加することはありますか。「していない」場合、将来「参加」させることを考えていますか。
5. ジャーナリストではないが、影響力を持っている有名ブロガーを知っていますか。御社の属する業界で具体例をお教えください。
6. 米国では情報をリークする場合、大手マスコミではなく、有名ブロガーに 持ち込むケースが増えています。御社の場合、こうしたやり方は考えられますか。将来はどうですか。