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ワンセグ大化けの条件

   携帯電話やカーナビゲーションなど携帯端末で地上デジタル放送が視聴できる「ワンセグ」が2006年4月1日から東京、大阪、名古屋の3大都市圏で始まった。年内には全国どこでも視聴できるようになる。受信できる携帯電話の売れ行きは好調、ワンセグは新しいメディアとして大化けするか。

ワンセグ、大化けの条件は魅力的なコンテンツ
ワンセグ、大化けの条件は魅力的なコンテンツ

   放送開始の日、街頭で実際にワンセグを視聴した人たちに反応を聞いた。

「電車の中で見られるのがいいね。プロ野球中継は帰宅の電車の中で途中経過がわかるし、ニュースもラジオより映像があるだけリアル。手放せそうもない」(42歳、会社員)
「最新機種の値段を家電量販店でみたら2万円から4万円した。ちょっと高い気がする。私は通勤途中にiPodで音楽を聞いていたほうがいいわ」(26歳、OL)

「ニュースやプロ野球中継を見たい」

   地上デジタル放送向けの電波帯域を13セグメント(領域)に分割。このうち12セグメントをNHKと民放が使い、1セグメントを携帯電話など携帯端末向けに使うので「ワンセグ」と呼ぶ。画質が向上し、車などで移動中でも画面が乱れないのが特徴だ。
   基本画面の上には番組が映り、下にはニュースなどデータ放送が流れる。プロ野球中継などは上の画面で試合の模様を視聴、下の画面で選手情報などがデータ放送で入手できる。番組内容は地上デジタルのテレビ番組と同じで、同時間帯に無料で視聴できる。
   ワンセグ対応の携帯電話は現在3機種ある。KDDIauは昨年12月から三洋電機日立製、NTTドコモもこの3月からパナソニック製を販売。ソフトバンクに買収の決まったボーダフォンシャープ製を6月のサッカーのWカップに合わせて発売する。
   売れ行きは好調だ。「05年末の発売直後から予想以上の反響で、首都圏では品薄になるくらい。購入者は男性8、女性2といったところ。30代のサラリーマンの買い替えが目立つ。ニュースやプロ野球中継を見たいという人が多いようだ」(家電量販店の店員)

「利益に結びつかない」と携帯電話会社は複雑な表情

   携帯電話製造の家電メーカーはホクホクだが携帯電話会社は複雑だ。携帯電話会社にとって無料のワンセグ、つまりテレビを視聴されるだけで直接、利益に結びつかない。むしろ、ワンセグを視聴が拡大すると、肝心の通信・通話の利用頻度が落ち込んで減収につながるからだ。
   ワンセグは08年まではCMの入った地上デジタル放送と同じ番組を流すことが義務付けられている。携帯電話による視聴を前提にした番組やCMへの取り組みは08年以降になる。広告代理店は「当面は、どのくらいの人たちが、どんな時に、どんな番組を視聴するかを調べ、ワンセグの視聴率調査もできるようにしたい」としている。
   08年の北京五輪までには1千万台を超える携帯電話の大半がワンセグを視聴できるようになるといわれている。「テレビ放送の視聴が難しい時間帯を補完するメディアとして大化けする可能性もある」(民放幹部)と期待も大きい。
   しかし、ワンセグが大化けするかどうかは携帯電話向けにどれだけ魅力のある番組が提供できるか、そして手軽な値段で買える対応携帯電話の登場にかかっているといえそうだ。