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タイゾー君 やっぱりおまえはバカじゃない?

   自民党杉村太蔵議員が公開しているインターネット上のブログ(日記風サイト)が、代々木ゼミナールの人気講師・吉野敬介さん(39歳)の自伝「やっぱりおまえはバカじゃない」(小学館文庫)のパクリだったことが発覚した。それでもタイゾー君は他人事のように「酷似してますね。問題ありますね」。何が悪いか分からない様子だった。

ブログをアップした直後から「盗作?」の疑惑

杉村太蔵ブログ。「盗作」箇所は、すでに削除されている
「パクリ」が明らかになった杉村議員のブログ。「盗作」箇所は、すでに削除されている

   問題になっているのは杉村議員の「独身最後の夜です」で始まるブログ。2006年5月10日午後11時32分にアップされた。吉野氏の自伝は15年前に出版され、その22ページ目の部分が瓜二つなのだ。実は、杉村議員がブログをアップした直後から「盗作?」の疑惑が持ち上り、2ちゃんねるなどの掲示板には「フライデーとかのマスコミにタレこもう」などの書き込みが続いていた。
   そしてついに日刊スポーツが06年5月23日付けで『太蔵ブログ、代ゼミ人気講師の自伝と酷似』と、紙面の半分以上を使って報じ、テレビ、夕刊紙などが後追いを始めた。
   日刊スポーツでは酷似の部分を二つ並べている。

杉村議員のブログ
【思い出しますね。19歳の頃。 本当にこの男は腐ってました。本気で自分が嫌いだったし、何度も死のうと思った。死のうと思って真冬の大雪山に車で行って、それで凍死を試みましてね。それで車から降りて雪の上に寝て、じっと静かに死を待ったわけですよ。それでもあまりに寒くてね、死ねなかった。しょうがないから車に戻って、少しあったまってから もう一度死のうと思って外に出たんですがね、やっぱり寒くて、 「これじゃー風邪引いちゃうよ」とか文句を言いながら帰ったのを昨日のことのように覚えています。今考えたらおかしな話ですよね。死のうと思って来ているのに、風邪を引くも何もないだろうという感じですわね】

吉野氏の自伝
【雪の降る夜、車にチェーンをつけ、志賀高原の山路を登っていった。雪のなかで眠りこみ、凍死しようと思ったのだ。雪のなかで眠るなんて、とうていできることじゃない。寒くて寝られない。 あまりに寒いから、いったんクルマのなかに戻って暖をとる。再度、雪の上に 寝転がるのだが、あまりにも寒くて寝られやしない。こんな調子でクルマに出たりはいったりしているうち、風邪ひいちゃう、死んじゃうと 思って(死ぬために行ったのに)「やっぱりやめた」とアパートに帰った】

   ニッカンが、「志賀高原が大雪山になっただけ」と小見出しを付けたようにパクリは明らかだ。

「オチまでパクるな」と激怒する

   吉野氏も激怒しているようで、「オチまでパクるな。民主党の永田さんは例のメールを本物と信じて問題を起こしたけど、杉村さんは確信犯じゃないか」とコメントしている。
   にもかかわらず、というか、いつものようにタイゾー氏の辞書には反省という言葉はないのである。
   テレビ朝日では23日午前11時に杉村議員を直撃した。「“自殺未遂”は盗作。タイゾー議員が謝罪」のタイトルで放送した。
   盗用はあったのか?の質問に「酷似してますね。そう言われてもしょうがない。あれは問題ありますね」。読んだことはあったのか?には「そうですね」。 作者に対しては?には「不快な思いをさせてしまったら大変、申し訳なかったと思います。今後十分、注意したいと思います」
   いつものように泳いだ様な目をしていたが、まるで他人事のような話しぶり。しかし「似ている」ことは認めたが、「盗作」は認めていなかった。

「ブログを書くだけが仕事なのに、それも盗作でサボってる」

   ネットの掲示板では「ゴーストライターがサボっただけだな。盗用に関してはたいぞうは悪くないと思う。」「>今後、十分、注意したいと思います。って、アレか。バレないようなのを流用するよう注意するってことか?」「年収2,500万円でブログを書くだけが仕事かよって皮肉られている奴が、そのブログを書く事さえも盗作でサボってる始末」などの書き込みが並んだ。
   JINBN編集部は、議員会館の杉村事務所を電話で直撃した。応対した事務員は、情けなさそうな声を出しながら「杉村が個人で管理しているブログのため状況はわからない。今日は都内にいるが、連絡が取れず居場所が分からない」と話すだけだった。
   自民党に聞くと「事実関係がまだはっきりしていないのでコメントはできない」とだけ答えた。
   「やっぱりおまえはバカじゃない」の出版元の小学館文庫編集部では、

「当社の著作権部門や広報に、マスコミなどから相当数の問い合わせが入っている。著作権者はあくまで吉野先生だから、先生がどう動くかはわからないが、もし訴訟になった場合は、できる限りのお手伝いをするつもりだ」

   と、早くも臨戦態勢に入っているようだった。
   盗作への追及が今後さらに強まれば、国会議員としての処分や辞任などへも発展する可能性もある。この事態を予想したかのように、自分のブログでも「議員や辞めたらどうするか」という質問に「数学を教えたい」と答えている。それが現実になるのかどうか。