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白インゲンダイエット 本当は効果なし?

   TBSで紹介された白インゲン豆ダイエット法には効果がなかった。そんな疑いが浮上している。番組を見てダイエットを試した視聴者は、やせない、健康被害は受ける、と「踏んだり蹴ったり」だ。

   TBSの健康情報番組「ぴーかんバディ!」で紹介された白インゲン豆を使ったダイエット法で多数の視聴者に健康被害が出た問題で、2006年6月26日、井上弘代表取締役社長が7月の月額報酬を30%返上するほか、役員・社員計6人を処分した。6月20日に受けた総務省の文書による警告の行政指導をふまえてのものだが、異例の重い処分だ。

十分に火が通らず、中毒症状を起こした

「ぴーかんバディ!」を放送したTBS
「ぴーかんバディ!」を放送したTBS

   問題になったのは、5月6日放送の同番組で紹介された、「白インゲン豆を3分ほど煎って粉末化し、ご飯にまぶして食べる」というダイエット法だ。番組で紹介された方法では十分に火が通らず、豆に含まれるタンパク質の一種である「レクチン」という物質の毒性が残っていたため、中毒症状を起こしたという。激しい嘔吐、下痢などの健康被害が出たのは、TBSに6月18日までに連絡があっただけで1,149件。104人が入院した。

   そもそも何を根拠に「白インゲン豆でダイエット」ということになったのだろうか。TBSではJINビジネスニュースの取材に対し「ダイエットに有効な物質『ファセオラミン』を壊さない調理の仕方として紹介した」と話す。

   この「ファセオラミン」、炭水化物を分解する酵素の働きを阻害する役割があるといい、それがダイエットにつながる、という。だが、ダイエットと食事の問題に詳しい浅野次義・浅野生活習慣病予防研究所所長(内科認定医)は「インゲン豆に含まれる程度のファセオラミンではやせられない」と話す。濃縮して抽出する必要があるのだという。となると、TBSの番組は「ダイエットはできない」しかも「健康被害を受ける」、とんでもないものを紹介したことになる。

成分の「ファセオラミン」は売り上げ急増

   ファセオラミンは、意外なことに、健康食品としての売り上げは急増している。インターネットでの医薬品・健康関連商品通信販売大手「ケンコーコム」の売れ筋ランキングでは、4月は白インゲン関係のランクインはなかったが、番組放映後5月のランキングではベスト20のうち3商品、6月(5月20日~6月19日、出荷数ベース)は5商品がランクインした上に、ベスト3を独占した。同社によると「04年にテレビ番組で『コエンザイムQ10』が放送された際は1万8,000件のアクセスがあったが、今回はそれを大きく上回る6万件のアクセスがあった」という。

   健康被害の報道が大々的に行われるようになってからは「白インゲン豆そのものの注文は落ち着きつつあるが、『ファセオラミン』の売り上げは堅調」(同社)だといい、「『コエンザイムQ10』のようにブームになるか、このまま一過性のものとして終わってしまうか、見守りたい」と話している。