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船井電機 液晶テレビに 安値で殴りこみ

   低価格の家電製品作りを得意にする異色の家電メーカー、船井電機が、家電量販最大手のヤマダ電機と提携して06年7月中旬、国内の液晶テレビ市場に本格的に参入する。競争が激しい普及モデルの20型、32型の2機種を、ヤマダ電機の全国約310店舗で販売する。32型の価格は1インチ当たり4,000円台と大手メーカーより割安で、薄型テレビの低価格化と普及に拍車をかけそうだ。

組み立ては中国の自社工場で行う

船井は、海外でも液晶テレビを販売している
船井は、海外でも液晶テレビを販売している

   船井の32型はデジタル放送チューナーを搭載。店頭想定価格は14万円台で、大手メーカーの実売価格16万円前後より低く抑える。20型は大手より約1万円安い5万円台後半にする。9月からインターネットでの直販も行う。
   国内の液晶テレビ市場への参入は、実は船井にとっては再挑戦になる。2年前に15型の小型液晶テレビを発売したが、ブランド力不足や価格競争力の弱さもあって、05年春に一度撤退した。今回は基幹部品を台湾メーカーから調達するが、画像処理の半導体は自社製を使い、組み立てを中国の自社工場で行うなどコストを極力減らし、価格競争力を付けた。
   年内には、37型と27型も追加投入するが、大画面化を進める大手メーカーとは一線を画し、中・小型を主力にする方針。来年春までに4機種それぞれ5万台の出荷を目指し、08年春までに国内の液晶テレビシェアで2ケタを目標にする。

中小型を中心に家庭での2台目需要を見込む

   「薄型テレビの普及率はまだまだ低く、今後は中小型を中心に家庭での2台目需要も見込める。そこが我々の主戦場になる」。東京都内で7月5日会見した船井の中島義雄副社長はそう意気込みを語った。
   ちなみに、中島氏は旧大蔵省で事務次官候補の1人と目されながら、不透明な金銭授受の問題で95年に退官。97年に京セラに転じて旧三田工業の再建で手腕を発揮。船井創業者の船井哲良社長が口説き落として、05年から船井電機に迎え入れた異色の経歴の持ち主だ。今回の液晶テレビプロジェクトは、中島氏が陣頭指揮を取る。
   国内の液晶テレビ出荷台数は05年で約420万台。大型化の波に乗って07年には720万台と急成長が続く見通し。船井はまず自社ブランドの中小型、低価格帯の商品で地歩を固め、将来的には、AV(音響・映像)機器などで得意としてきた同業他社へのOEM(相手先ブランドによる受託生産)も行って、国内市場でのシェアを引き上げる戦略を描く。大型化・高付加価値化で激しく競う大手メーカーと違い、成熟化しつつある中・小型市場に集中し、小回りを利かせて戦うという船井の動向は、引き続き目が離せない。