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ドコモPR用「SNS」 10日で「炎上」

   企業が販売促進のためにブログやSNS(ソシアル・ネットワーキング・サービス)を活用する例が増えているが、それが「炎上」に追い込まれる例も少なからずあるようだ。どうして、こんなことになってしまうのだろうか。

ミクシィにはケータイ関連の「コミュ」も多い
ミクシィにはケータイ関連の「コミュ」も多い

   NTTドコモは2006年6月12日深夜、大手SNSのミクシィ(mixi)で「プッシュトークです、どーぞっ!」というタイトルのコミュニティー(コミュ)を開設した。新サービス「プッシュトーク」について理解してもらうのが目的だ。この「コミュ」は、ミクシィが広告プログラムとして提供している「公認コミュニティ」として開設された。だが、わずか10日後の6月23日に、閉鎖に追い込まれてしまった。

新サービスの使用方法を分かってもらうための「コミュ」

   「コミュ」自体はすでに削除されており、内容を見ることはできなくなっているが、「コミュ」を観察するスレッドがミクシィや2ちゃんねるなどで複数立てられており、そこで内容が紹介されている。それによると、「コミュ」の紹介文には、こんなことが書かれている。

「このコミュニティは“電話でもない、メールでもない、新しいコミュニケーション” プッシュトークの輪を広げたい!という気持ちからできたNTT DoCoMoのオフィシャルコミュニティです。(略)。o○☆*゚特別ゲストの参加もあるかも!? 。o○☆*゚」

   つまり、新しいサービスの使用方法を分かってもらうための「コミュ」だった。
   コミュの紹介に加えて、コミュ独自の利用規約が定められ、利用規約の他にも、スレッドを立てられるのは管理人だけ、特定機種の話題についてはウェブサイトを参照、などの注意書きが並ぶ。

   加えて、「プッシュガール」と名乗る、管理人のプロフィールには「こちらのアカウントは管理用なのでマイミクの申請などにはお答えできかねます。ご了承下さい」と、コミュ利用者とのコミュニケーションを拒んでいるとも取れる記述もある。これが、利用者の反感を招いたようだ。例えば、こんなやりとりだ。

管理人への非難発言が相次ぐ

「(管理人の発言)こちらのトピックへの書き込みはご遠慮頂いております」
「(利用者の発言)返事もらえませんか」

   さらに、管理人の沈黙ぶりを非難する発言が相次いだ。

「さて、プッシュガールさん、コミュニケーションを創造する会社が運営するコミュニティで、これだけ皆さんがあなたに声がけをしているのですから、そろそろ皆さんにコメントをしていっても良いのではないでしょうか?」
「コミュニティにおいてコミュニケーションを拒否する姿勢を管理人がかくのごとく見せつけていれば、当然『嫌われる』という結果を獲得できることは十分に理解しているはずなんですよね」

   こんな非難が相次いだ末に、コミュ自体が閉鎖に追い込まれた、ということのようだ。

   NTTドコモ広報部ではJINビジネスニュースの取材に対して、今回のコミュの運営について

「コミュ内部の話題をプッシュトークに限定したことに対して、批判や揚げ足を取るような発言が相次ぎ、全てに対応することができなくなり、運営が難しくなった。このような状況では、全てのコミュ参加者に満足してもらうことができなくなったため、閉鎖に至った」

と説明している。なお、今回のコミュは

「別にキャンペーンではなく、プッシュトークについて話し合って理解を深める場を提供した」

と、販促活動ではないと主張している。

企業側も「やっぱり『炎上』が怖い」

   今後については、

「SNSやブログを利用する予定は今のところないが、今後利用しない、ということが決まったわけでもない」

と、「白紙状態」なのだという。

   NTTドコモの他にも、05年11月には、ソニーが開設したウォークマンのPRブログに「ヤラセ」があるとして「炎上」、閉鎖に追い込まれている。

   ある大手自動車メーカーの広報担当者はこう語る。

「ブログが有効なことは分かっていて、いろいろ活用してみたいのですが、やっぱり『炎上』が怖いんですよね」

   企業がブログやSNSの広告利用に二の足を踏む日々が続きそうだ。