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心臓病女児募金活動に ネット上で批判噴出

   心臓病に侵された女の子への救済募金をめぐって、2ちゃんねるなどの掲示版が「祭り」状態になっている。手術などに必要な1億3,600億円を目標に、両親と有志が募金活動を始めたが、両親がNHKに勤務していることなどを理由に「高給取りなのに何故自腹を切らないのか」といった批判が噴出したのだ。矛先は他の募金活動にも向けられ、募金という活動そのものの透明性に疑いの目が向けられている。

   批判を浴びているのは、難病の「突発性拘束型心筋症」を患っている、4歳の女児への募金活動だ。2006年9月21日に都庁で会見し、募金を訴える様子がメディアに取り上げられた。

両親はふたりともNHKの職員だった

「祭り」に巻き込まれた「救う会」のウェブサイト。指摘を受けて、目標募金額の内訳が掲載された
「祭り」に巻き込まれた「救う会」のウェブサイト。指摘を受けて、目標募金額の内訳が掲載された

   女児の両親は「団体職員」と報じられたが、実はふたりともNHKの職員だった。これがやり玉に挙がった。これをきっかけに、「高給取りなのに自腹を切らないのはとんでもない」といった批判が噴出した。加えて、父親が職場では旧姓を使用しているのに対して、会見では戸籍上の名前を使っていたことが「隠蔽」と、さらに非難を呼ぶことになった。さらに、「救う会」の代表者や構成員にNHK職員が多いという指摘が相次ぎ、「治療費は内部で調達しろ」と火に油を注ぐ形になった。

   過去の募金活動にも批判の目が向けられた。余命わずかで、今すぐお金が必要だったはずなのに、実際の手術までには時間がかかった例や、会計報告が不明朗だったケースなどが次々に指弾され、「巣食う会」「死ぬ死ぬ詐欺」などと揶揄された。

両親が3,000万円を自己負担、と掲載

   そんな中、今回問題になった「救う会」では9月29日にウェブサイトに大幅加筆、目標募金額の内訳が掲載された。それによると、両親が3,000万円を自己負担し、募金口座に入金することが明らかにされた。両親のコメントも発表され、

「いま住んでいる三鷹市の家と土地は、三年前に購入いたしました。20年ローンで入手したこの住まいだけが、私どもの唯一の資産であり、手持ちの預金からローン残高である負債を差し引いた額はもちろん、大きなマイナスの数字です。(略)まずもって明らかにすべき自己負担の額のご報告が遅れてしまったことをここにお詫び申し上げます」

と、自己資金だけでは治療費はまかなえないことを訴えた。

   そんな中、「救う会」に集まった募金のあり方にも変化が出ている。

集められたお金の使い方も情報公開へ

   9月27日には秋田市の中学生、雲雀秀幸君(15)を支援する「ひでゆき君を救う会」が、手術が成功して秀幸君が学校にも通えるようになったのを受け、会の活動を縮小し、約5,600万円の募金残高を今後約3年間凍結する、と発表した。状態が安定した後は、日本移植支援協会に管理を委託、移植を待つ患者に役立ててもらう考えだ。

   9月29日には府中市の中崎勲さん(24)を支援する「中崎勲君を救う会」が、中崎さんが回復して社会人になったとして解散した。基金の残高735万円は国際移植組織「トリオジャパン」に寄付、移植を必要とする人の支援に充てられる。
   こうした動きに対して、ネット上では

「当たり前のことなんだろうけど偉い」
「明朗会計は大切だな」

といった声もあるが、まだまだ

「当然だが、人命を助けることは良い事だ。この活動で救われる命があることも確かなのだろう。ただ、気になるのは集められたお金の使い方・・・・・・ 全員がボランティア・スタッフというわけではないですよね」

   といった懐疑的な見方が大勢だ。
   今後は、「救う会」がどこまでガラス張りの情報公開が出来るかどうかに注目が集まる。