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新型カローラの販売 一見好調に見えるが…

    トヨタ自動車が2006年10月に発売した新型「カローラアクシオ/カローラフィールダー」の販売が好調だという。1カ月間に受注した台数は月間販売計画の2.5倍に相当する3万台。だが販売店の顔色は冴えない。表向きの数字はいいが、内部目標には届いていないというのだ。日産やホンダの販売店は「カローラなら計画の5倍はいったはず」と酷評する。

 新型カローラの月販計画は1万2,000台。このうちセダンのアクシオ、ステーションワゴンのフィールダーともに、それぞれ6,000台とした。一方でトヨタが販売目標に掲げた公表値は、受注が発売後1カ月間で2万4千台、ユーザーの手元に届く登録台数は発売から12月末までの年内計画を4万台としている。

価格上昇が予想以上に受注に影響

新型カローラ、売れ行きは本当に好調?
新型カローラ、売れ行きは本当に好調?
 

   今のところ1カ月受注台数は公表値を上回り、年内登録台数も公表値を超える勢いで推移している。だがカローラといえばトヨタを代表する車種。「カローラなら安心。次もカローラでいい」というユーザーは多い。カローラからカローラへと乗り換えてきたユーザーが、販売No.1車種の座をキープしてきたわけだ。
 ライバルたちが落とせなかったユーザーが大量に存在することで、ライバル他社は1カ月受注が3万台では少なすぎるとみている。「本来ならその倍くらいを望みたい。そうならないのはカローラ店が弱体化しているためでは」と見ている。しかも「カローラが売れれば、同クラスの車に波及効果があるはずだが、今回はそれがない」というのだ。
 現実にカローラ店は悩んでいる。内部的な受注目標は公表値よりも高い。発売後1カ月間で動いたのは先代モデルのユーザーが多く、2回目の車検を前にして買い換えている。ところが先々代モデル以上のユーザーが買い換えない。代替を促すターゲットユーザーが高齢化しすぎたこともあり、価格上昇が予想以上に受注に影響しているという。
 セダンのアクシオは、バックモニターが全車標準装備になるなど装備は良くなった。1.8l車は新しいエンジンと新開発CVTを搭載し、1.5l車も新開発CVTを搭載して基本性能は大きく向上した。車が良くなった反面、売れ筋グレードの販売価格が上昇したためだ。

もっと安い軽自動車へと流れるユーザーも

   アクシオの売れ筋グレードであるFF1.5l「X」の販売価格は149万1,000円。コンパクトカーの人気車購入の目安となる150万は切ったが、先代モデルより4万2,000円も高い。カローラ店は新型であるからこそ大きな値引きを行えず、下取り価格でなんとかユーザーの購入意欲をあおろうとしている。
だが現在の市場では、カローラクラスなら諸費用込みで150万円がユーザーの予算の主流となっている。
 カローラユーザーの平均年齢が63歳ということもあり、年金生活者などは下取りで値が付かなければ購入できない。カローラ店のセールスは「カローラのフルモデルチェンジが、小型ミニバンタイプのシエンタを売りやすくした」いう。もっと安い軽自動車へと流れるユーザーも現れ、今回のカローラで廃止した1.3l車の低価格グレード待望論が、早くも現れている。
 一方のカローラフィールダーは、CMに木村拓哉さんを起用していることで若い女性の購入増を期待している。ところが軽自動車などと比べて室内は広く、実用的な装備は備えているものの、お洒落感が少ないとの評判。スタイルもあるが、内装のカラーが落ち着きすぎていることが不評のようだ。実質的に40代以降のユーザーが中心となり、200万円以下の価格帯の中でミニバンを含めて競合車が多く、大幅値引きに踏み切れない現状の販売は苦しい状況が続くと見られている。