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家庭内ネットワーク 本命が日本でもスタート

   パソコンやテレビを電気コンセントに差し込むだけで、高速インターネット接続ができる新サービス、「電力線通信(PLC)」が日本でも始まる。06年10月に総務省が省令改正して解禁したことを受け、松下電器産業は11月13日、対応機器を国内で初めて12月に発売すると発表した。14日には中部電力など、中部以西の電力系通信会社6社も、対応機器を無料で貸し出す試験サービスを始めた。家庭内で部屋ごとに引いていた通信ケーブルがいらなくなるほか、将来的にはエアコンや照明、DVDレコーダーなどの家電がネットにつながり、外出先から携帯電話などで操作できるなど、大きな可能性を秘めている。

実際に使うには、通信事業者との契約が必要

PLCの解禁まで間もなくだ
PLCの解禁まで間もなくだ

   電力線通信は家庭内の電気配線にインターネット信号を流して、そのままインターネット回線として使うもの。理論上の通信速度は最大毎秒190メガビットと、無線LANやADSLを大きくしのぐ上、壁などの障害で通信が途切れる心配もない。欧米諸国ではすでにサービスが先行して始まっており、日本でも、「家庭内ネットワークの本命になる」(松下)と期待されている。

   ただ電気配線や電源コードは、もともと通信信号を流すことを想定していないため、電波が漏れやすいという課題がある。電力線通信で使う周波数帯は、アマチュア無線や宇宙から届く電波の観測、短波のラジオ放送に利用されており、混信の懸念があるとして、日本では反対意見が続出、解禁が遅れていた。だが、電気配線の通信に用いる利用範囲を屋内に限定することで、ようやく解禁された。実際に使うには、別途通信事業者と契約し、屋外から屋内へ光ファイバーやADSL回線を引き込む必要がある。

内外の家電メーカーがモデムの標準装備化を進める

   松下が発売するのは、屋内の電気配線を通信で共用できるようにする専用装置(PLCモデム)。屋外からのインターネット回線を親機モデムで受け、モデムの電源プラグをコンセントに差し込むと、屋内の電気配線がネット回線になる。

   その上で、各部屋でパソコンやテレビなどのネット回線を子機モデムにつなぎ、モデムのプラグをコンセントにつなぐと、ネット接続が可能になる。つなぐ家電ごとに子機が必要で、松下の場合、親機一つで最大15個の子機ができる。親機と子機各1台のセットで店頭想定価格は2万円前後、増設用の子機は同1万3,000円前後。

   将来的に子機モデムを内蔵した家電が発売されると、子機モデムを中継しなくても電源コードを差し込むだけでネット接続できる。松下は07年にもテレビや電話など子機モデムを内蔵した家電も発売する予定だ。さらに国内外の家電メーカーと連携してモデムの標準装備化を進める方針だ。