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SNS最大手ミクシィ 成長神話の終焉

   SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のミクシィ(mixi)が伸び悩んでいる。ネットレイティングスが発表した調査結果では、PV(ページビュー)では国内で2位につけているものの、06年7月から伸び悩び、ここにきて減少傾向にある。しかも、利用時間が長いのがmixiの大きな特徴だったが、ここでも一人あたりの月間平均利用時間も急激に減少している。ここまで不調にあえいでいるのはなぜなのか。

   ネットレイティングスが2006年11月20日に発表した調査結果によると、mixiの月間PVは、05年10月の7億842万が06年7月には27億9,228万へ急激に伸びているが、その後は低調な伸びを示し、06年10月は27億6,630万で、9月の28億4,549万から8,000万PVほど減少した。

11月に入ってからPVはさらに落ち込む

Alexaの表示でも最近の推定PVの低下が目立ってきた
Alexaの表示でも最近の推定PVの低下が目立ってきた

   さらに、全世界のWebサイトへのトラフィックを集計しているAlexaが示すmixiの推定PVは、06年7月から頭打ちし始め、11月に入ってからはそれを下回ることも多くなっている。この結果からも、PVが最近落ち込んでいる、というのは間違いない。

   なぜ、mixiは伸び悩んでいるのだろうか。
   マイネットジャパンアドバイザーで、有名ブロガーの藤代裕之さんは次のように見る。

「考えられる要因はいくつかあると思いますが、一つはサービスがすでに『踊り場』にあることでしょうか。この状態はどのサービスにもあるものですが、Webにはどこが『踊り場』だったりするのか、このあとどうなるのか分からないという面もあります。そして、もう一つは、(mixiに対して)不安な感じを持っている人が増えてきたことでしょうか。mixiには一種の『居心地の良さ』というものがありましたが、(規模が)大きくなって、敬遠する人も増えたのかもしれないですね」

広報体制にも問題がある、という声が

   さらに、藤代さんは次のように続ける。

「(mixi内で起きた)トラブルについて、対処が後手に回ったというのも大きいですね。マスコミにはミクシィが注目されたことでネガティブ情報も出るようになっていますが、それに対するリレーション(広報)に問題があると思います。マスコミの取材に答えないで、事務局がお知らせを掲載するだけ。そういったことは、上場企業にはありえないことです」

   つまり、マスコミを無視したミクシィの対応が、マスコミから情報を得る機会の多いユーザーに「不安感」を増幅させた、ということだ。

   06年10月5日にmixi上で起きた俗に言う「三洋電機事件」で、mixi側が実名登録を推奨していたために、会員だった女性の写真と自宅住所、電話番号などの個人情報などがネット上で流出する事態が発生した。このときも、mixi側は、「お知らせ」を掲載しただけで、J-CASTニュースの取材には一切答えなかった。

   さらに、この事件の後に、多数のアカウントが予告なしに削除(つまり強制退去)される、という事態も発生しており、mixiのユーザーが運営者側に「不信感」や「不安感」を植えつけてしまった可能性が高い。実際にmixiのPVは(Alexaの場合)、この事件が発生した06年10月から減少傾向にある。

   さらに追い討ちをかけるように株価の下落も続いている。06年9月15日に295万円の初値をつけた同社株も06年11月28日終値は189万円まで下落した。