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不人気安倍につきまとう 「小泉の亡霊」

   安倍晋三内閣の支持率が続落している。最初は60~70%もあったのが、2006年10月頃から急落。今では50%前後まで落ち込んでいる。復党問題や道路特定財源の問題などをめぐって、「顔が見えない」「古い自民党に戻った」などの批判も向けられているが、支持率低下の大きな要因は、安倍首相が「小泉の亡霊」から逃れられないから、という見方も有力だ。
   「明快小泉」に比べると、どうしても「あいまい」とされてしまう構図だ。

   朝日新聞が06年12月9日~10日に実施した全国世論調査では、安倍内閣の支持率は47%で、前回の06年11月調査の53%から6ポイント低下。不支持率は32%で前回の21%から上がった。読売新聞が同日に実施した世論調査では、支持率は55.9%で前月比9.2ポイントも減少。不支持率は8.3ポイント増の30.0%だった。毎日新聞でも同日に世論調査を実施。支持率は46%で、前回(11月)調査の53%から7ポイント減少した。不支持率も前回より8ポイント増の30%に上った。

「国民は『古い自民』と見始めた」?

安倍内閣の支持率低下を伝える各紙。ここにも小泉前首相が登場
安倍内閣の支持率低下を伝える各紙。ここにも小泉前首相が登場

   支持率は続落し、さらにはここに来てさらに急低下というのが新聞各紙からも一目瞭然だ。

   毎日新聞社説は「国民は『古い自民』と見始めた」と題し、

「道路特定財源の話はするまでもなかろう。小泉政権時代、鳴りを潜めていた自民党道路族の発言力は再び強くなり始めた。族議員側からは『小泉純一郎前首相に比べ、安倍首相はくみしやすい』といった余裕の声さえ聞こえるほどだ」

   と道路特定財源についての安倍首相の姿勢を酷評。朝日新聞社説も、道路特定財源問題を大きく取り上げ、

「この問題で首相は当初、『国民のための改革』を宣言した。小泉前首相のようにトップダウンで改革を打ち上げ、抵抗勢力との亀裂も辞さず実現をめざす。首相の言葉に、そんな決意を期待した国民も多かったのではないか。だが結局は、相も変わらず道路整備を優先する骨抜き決着だった。(中略)安倍改革は本物かどうか、その最初の試金石で抵抗勢力に降伏したのだ」

   と断じている。

小泉に比べ、「根性が据わっていない」という評価

   さらに、かねてから安倍首相への批判がすさまじい日刊ゲンダイは06年12月12日付けの紙面で「小泉前政権は酷かったが安倍政権はより無力無能無責任」と題し、次のように安倍首相を評している。

「小泉改革の継承を掲げる安倍だが、小泉ほどの唯我独尊になれない。もともと党内ではハグレがらすの小泉は批判に対して『関係ない』の一言で馬耳東風だったが、安倍はプリンスとか何とかいわれた乳母日傘の温室育ち。(中略)善悪は別にして根性が据わっていないのだ。党内からは『与党の意志を尊重する政権本来の姿に戻った』とか『与党の協調路線でくみしやすい内閣だ』とすっかり”評価”が上がっている」

   つまりは、「自民党をぶっ壊す」とまで豪語して改革を進めた小泉前首相に比べ、安倍首相は道路特定財源については「根性が据わっていない」という評価が各紙に共通している。それは、復党問題しかりであり、それが支持率低下の要因、とみるのはどこも同じのようだ。

   政治問題に詳しいあるジャーナリストはJ-CASTニュースの取材に対し、

「はっきりしていた小泉に比べ、安部はつねにパッとしないという風に国民には映る。言ってみれば、安倍は小泉の亡霊に取りつかれている。これからも支持率が低下し続けることだって考えられる」

   と話す。高支持率を維持してきた小泉前首相の「亡霊」が安倍首相につきまとっている。