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「見せ場少ない」紅白のみどころは?

   なにかといえば「地味だ」「見所が少ない」とされる今回の紅白であるが、そんな紅白の楽しい観戦のしかたを、地中奥深くまでボーリングしてみよう。

小林幸子の“豪華衣装”に挑戦!? DJ OZMA

   まず、紅白のプロデューサーが「最大の見せ場」と自負するのは「小林幸子×DJ OZMA」である。小林の”豪華衣装”は紅白の定番――とはいえ、身につけた本人が自分で動かせなようなものを「衣装」と呼んでいいのか、あれを見てどう喜べばいいのか、思い悩んでいた視聴者も多いだろう。

   そこで今年は、白組のアーティスト、DJ OZMAが小林に挑戦する。小林へのプロテストの意味をこめ、「一世一代の脱ぎっぷりをみせる」と宣言。”裸の衣装”で小林を秒殺する構えだ。なお、OZMAは氣志團のボーカル、綾小路翔と同一人物だと噂されるが、本人は否定している。

   今年3月の離婚以来、はじめて同じ舞台に立つ、森進一と森昌子・元夫妻。(夢が)モリ・モリ対決の勝敗も注目される。曲目は「バラ色の未来」の昌子に対し、進一は「おふくろさん」 。やはり男は女房よりも母親だ、と言いたいのか!? 曲目から判断するに、離婚後の明暗はクッキリわかれてしまったらしい。

消えたCHEMISTRY、一青窈、島谷ひとみ

   毎年毎年、紅白の出場者はマンネリだ。マンネリだと言うことがすでにマンネリなほどである。でも、本当に安泰なのは演歌界の大御所ぐらいで、けっこう新陳代謝はしてる。今年の初出場は54組中12組。もやもや病を克服した徳永英明、「PRIDE」の今井美樹も意外や意外の初登場である。

   布袋寅泰は妻の今井のサポートメンバーとしてギターを披露する予定で、夫婦の裏技的な共演が実現する。だけど、どうせならもう一声。高岡早紀も交えた三者の「新・仁義なき戦い」が観たかったかも!?

   一方、おもな落選組には、デビュー以来5年連続の出場が途絶えたCHEMISTRYをはじめ、一青窈、島谷ひとみらがいる。またいつの日か紅白でお目にかかれるだろうか!? 浮き沈みの激しい芸能界とは言うものの、大量生産・大量消費のポップミュージック界でひとたび深く静かに潜行すると、そのまま沈没船となるケースが大半である…。

オレンジレンジは今年が最後?

   今年限りで紅白から消えるかも!? そんなイジワルな予感をさせるアーティストもいる。たとえば、究極のサンプリング・グループとして知られるオレンジレンジはどうだろうか。

   いいモノは誰のモノかなんて気にせず、どんどん取り込んで、それを広く公開する。そんなネット時代の寵児、著作権新感覚アーティストだったレンジも、最近はその錬金術に翳りがみられるようだ。 今年のサッカー・ワールドカップでNHKテーマソングを担当し、名曲「チャンピオーネ」を作曲したまではよかったが、気の抜けた歌声と脱力感あふれる雄叫びを披露。日本代表の戦いぶりを予言していたのではないかと一部で話題になった。

   「もう、これっきり」になりそうなアーティストを、紅白を観ながら自分で探してみるのは楽しいかもしれない。これが最後の花道と思えば、音痴な歌もカラヤンの第九級のアリがたさに代わらないとも限らない!?

紅白にも口パクはあるのか

   音楽ライブにおける最大のタブーは「カラオケ」と「口パク」。とくに口パクをめぐる悲喜劇は後を絶たない。今から15年ほど前には、アイドルグループのメンバーがソロパートでコケたのに歌だけはそのまま流れる珍事があり、番組を見ていた少年少女に衝撃を与えた。

   近年ではアシュリー・シンプソンの一件が記憶に新しい。「サタデー・ナイト・ライブ」という超有名番組に出演した人気アイドルはその日、2曲を歌う予定だった。2曲目、彼女がマイクを口に近づけもしないうちに1曲目とまるで同じ歌が流れはじめた。スタッフが流すテープを間違え、同じものを2度かけてしまったことによる悲劇だった。

   それでは、紅白にも口パクはあるんだろうか。

   ここでプロデューサーの話を引用してみよう。「(紅白では)歌手の皆さんが1年のうちで最も力を振り絞って歌ってくれる。その感動は想像を絶する」とのことだ。

   そんな紅白に口パクなんてあるハズない!? んーでも、あったような気もするけど。いずれにしても、レアであることは間違いなく、見つけられたら喜ぶべきラッキーなお宝である。

   ついでにアシュリー・シンプソン級のハプニングが起きてくれたら最高だ。そんな期待に胸を膨らませつつ、31日午後7時20分からの紅白歌合戦を「チャンピオーネ」でも聴きながら盛り上がって待つのはいかがだろうか。

   なお、この合戦の詳しい模様については、2007年早々、当コラム「紅白ウォッチ」でお伝えする予定である。