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財政危機宣言めぐる熱海市長VS市議会 「場外戦」は市長が圧倒的に有利

   熱海市の齋藤栄市長が2006年12月5日に表明した「熱海市財政危機宣言」に対し、市議会側は宣言の撤回を求める要望を圧倒的多数で決議した。しかし、齋藤市長は撤回する意思がない、と表明、両者の対立が続いている。もっとも「場外戦」では市長が圧倒的に有利だ。

観光客離れを招くという、不安

熱海市HPに掲載されている「熱海市財政危機宣言」
熱海市HPに掲載されている「熱海市財政危機宣言」

   市議会は、

「今回の宣言で財政の膿を出し切れると考える議員もいますが、観光で成り立つ熱海にとっては、さびれているイメージが先行し観光客離れを招くという観光関連の団体の不安を重要視せざるを得ない」

   と反対の理由を説明する。熱海市観光協会も、今回の財政危機宣言に関して、

「事前になんの連絡なしにレッドカードを突きつけられた」

   と反発、バブル崩壊後、少しずつ熱海の経済も上向き、町全体で熱海のイメージアップを図っているところで水を指す発言だ、としており、観光関連の団体と市議会は一丸となって、市長に抗議の意思を示している。

   しかし、全国的に見ると、市長に反対しているのは、熱海市観光協会や市議会くらいだ。12月25日のテレビのワイドショーで前宮城県知事の浅野史郎さんはこう述べた。

「市長の判断は正しかった。ここで危機意識を市全体で認識しておかなければ、本当に熱海市は財政再建団体になりかねない。今後、市長と市議会が一体となって熱海市の財政が立ち直れば、イメージなんてすぐに上がる」

「このまま放っておけば、熱海市全体が沈没する」

   熱海市は、ここ10年で病院誘致や花の博覧会などで100億円以上の赤字を生んだ。さらに、前市長時代には40億円の予算をつぎこんだ市庁舎建設計画が進んでおり、これに齋藤市長はストップをかけ、建設の1年延期と規模縮小を表明した。

   「週刊文春」では評論家の猪瀬直樹氏がこう発言している。

「このまま放っておけば、借金苦で熱海市全体が沈没する」
「10年前に132億円あった基金(積立金)もほぼ使い果たして、19億円しか残高がない。にもかかわらず危機感がなかった」
「夕張市とは違って、むしろ外見は豊かそうにみえる熱海市のようなところで放漫経営による危機が、黒い影のようにひたひたと忍び寄っている」

   2ちゃんねるでも

「熱海は首都圏に近い温泉と言うブランドに甘えて何も努力をして来なかったツケが来ている」

   といった厳しい見方がほとんどだ。