J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「韓流」ブーム終わった 映画観客、旅行者がた落ち

   「韓流ブーム」がとうとう終わったようだ。韓国映画「シュリ」などを日本に紹介し「韓流ブーム」火付け役を担った芸能プロダクション大手、アミューズが2007年2月14日に07年3月期連結決算の予想を発表したが、収益の柱としていた韓国映画の観客動員、DVD販売ともに計画を大幅に下回った。日本から韓国への旅行者も減り、03年の「冬ソナ」以降続いていたNHKのBS2の「韓国ドラマ枠」も07年4月から無くなるという。

06年の韓国映画、日本では全て失敗

ヨン様人気は衰えず(写真は公式グッズ販売ページ)
ヨン様人気は衰えず(写真は公式グッズ販売ページ)

   アミューズが06年に日本で公開した韓国映画は「デイジー」、「美しき野獣」、「タイフーン」という大作3作品で、主演がチャン・ドンゴン、クォン・サンウ、チョン・ウソンという日本でもファンが多い韓国の大スターだったにもかかわらず、興行収入が不調。しかもDVD販売では、43万枚の売り上げ見込みが、実売数は23万枚だった。一方で同社の日本映画「嫌われ松子の一生」、「北斗の拳」は好調だったが、韓国作品が足を引っ張り同社のメディアビジュアル事業の営業収入は前年同期比31.3%減、営業損失が3億5,500万円になった。

   韓国映像の不振は同社だけではない。韓国から日本への映画の輸出額が06年は前年比で82%減という激減ぶり。西日本新聞は07年1月23日付けの特派員電で、

「韓国メディアは『韓流』ならぬ『寒流』だと、海外での韓国映画ブームの衰退を嘆いている(中略)特に日本向け輸出額が激減したことについて『ファンに飽きられてきたのは間違いない。日本に昨年輸出された二十三本は興行的にすべて失敗した』と語る」

   と書いている。

   韓流ブームの終わりを示すものは他にもある。韓国の3大紙「中央日報」は、07年1月24日に「韓流ブームの終わり?韓日訪問者数が逆転」という見出しを掲げ、日本法務省のデータをもとに、

「韓国に入国した日本人は前年比11万人減の231万9,676人だった。 韓日間の訪問客数が逆転したのは関連集計が始まった1975年以来初めて。(中略)韓流ブームが弱まったことで韓国を訪れる日本人が減った半面、ウォン高円安の影響で日本を旅行する韓国人観光客は大幅に増えたため、と分析された」

   と報道した。

関係者は「まだまだイケる」と意外に強気

   これではもうブームが終わったというより「韓流離れ」に近い。しかし、日本のメディア関係者は「韓流ブームが終わったという感じではない」「まだまだ韓国モノはイケる」と意外に強気なのだ。
   アミューズ広報はJ-CASTニュースの取材に対して、

「輸入した映画全てが当たるというものではない。韓国映画はハリウッド映画と同じ一つのチョイスとして日本で定着している。当社は来期も韓国映画、韓国舞台を日本で公開していく」
   と、まだまだ韓国モノはイケると考えているようだ。
   NHKは03年の「冬のソナタ」以降、BS2で「韓国ドラマ枠」を設けていたが、07年4月からは、同時間帯で韓国ドラマではなく、中国のドラマを放送することを決めている。NHK番組広報は、

「韓国ドラマ枠を無くしたのではなく、次は中国のドラマを放送するということです。良い韓国ドラマがあれば、また放送します。地上波では引き続き、韓国ドラマを放送していくわけですから」

   と、「韓流ブームは終わっていない」と言いたげに話した。
   「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ広報は、

「レンタルでは韓流が定番ジャンルとして確立されていて、06年は『チャングムの誓い』などヒット作が出た」

   と話している。

ヨン様だけは健在だ

   ただし、韓国の、アノ男だけは健在なことがわかっている。ヨン様だ。
   朝鮮日報は06年11月29日に「やっぱりすごいヨン様の人気」という内容を掲載した。同日に行われた「韓流エキスポ in ASIA」開幕式で広報大使として出席したヨン様を見に、午前11時の時点で日本から2,000人のファンが集まったという内容で、歓声を上げ、涙ぐんだ日本女性のコメント「欠航の可能性があると聞き、涙が出た。未明から待ち、飛行機に乗って済州空港に到着した」を紹介。
   そしてヨン様の06年の収入だが、所属事務所が07年1月25日に329億ウォン(約42億4000万円)だったと公表した。納税額は韓国芸能人トップの97億5,000万ウォン。収入の90%は日本での売り上げや日本企業との契約なのだという。しかも、06年は、出演するドラマや映画の公開はなかったにも関わらず、である。仮にヨン様が06年公開のドラマや映画に出ていたら現在の「韓流」の惨憺たる事態は起こってなかったかもしれない。つまり、「韓流」復活のカギを握っているのがヨン様で、実はこれまでの現象は、「韓流ブーム」ではなく、「ヨン様ブーム」だったのかもしれない。