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セカンドライフ 日本人居住区で詐欺発生

   米リンデンラボ社が運営するオンライン上の3次元仮想世界「セカンドライフ(Second Life)」。世界中から450万人以上が会員登録し、日本版も間もなく登場する。「単なるネットゲームだろ?」という人もいる。でもそうではない。日本円に換算して8億円以上のカネが動き、貧乏人から金持ちまでいる。さらに、セカンドライフ内の「事件」や「犯罪」などを報じるメディアも登場、「セカンドライフ共和国」とでも名づけたくなるような世界が広がっているのだ。

   リンデンラボが2007年3月15日(現地時間)に行った発表によると、セカンドライフの人口(会員数)は4,670,875人。仮想通貨「リンデンドル」が流通しているが、実際に米ドルに換金することができるほか、ドルで「リンデンドル」を購入することもできる。しかも、米ドルとの変動型交換レートが設けられており、「リンデックスマーケット(Lindex Maeket)」によってレートが示される。

月間で6億円ほどの土地の売買がある

ロイター通信はバーチャル支局で動画などを配信している
ロイター通信はバーチャル支局で動画などを配信している

   一時は1ドル当たり300リンデンドル以上だったこともあったが、07年3月現在、1ドルあたり約270リンデンドル(L$)。リンデンラボによると、15日現在の通貨供給量は約19億L$で、日本円(07年3月16日現在、1ドル116.8円)に換算すると約8億4千万円のカネがこの仮想世界のなかで流通していることになる。

   さらに、現実世界がそうであるように貧乏人から金持ちまでもがセカンドライフ内にはいる。リンデンラボによると、セカンドライフ内でビジネスを行っている人(土地の売買は除く)は、07年2月の推計で25,365人。うち1ヶ月あたり5,000$(米ドル)以上(16日現在日本円で約58万円)稼いだ人は116人。10$以下の人はそれの10倍以上の13,490人もいた。セカンドライフ内では、アバター(ネット上の自分の分身)向けの洋服やインテリアまでが売られており、スーツや実在するスポーツブランドのスニーカーやサッカーのユニフォームまで売られている。
   しかし、これは土地の売買を除いた場合。土地の売買もセカンドライフ内では盛んで、月間で6億円ほどの土地の売買があるとも言われている。なかには賃貸で億万長者になった人もいるというから驚きだ。

   カネがあれば「泥棒」もいるのは現実世界だけでなく、セカンドライフでも同じようだ。
   SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)最大手「ミクシィ(mixi)」が採用情報を提供するオフィスを設けたことで有名な「ジャパニーズビジネス島(Japanese Business SIM)」では、

「2月26日にakiba(セカンドライフ内の日本人居住区)中心に有り金が全部取られてしまうスクリプトを使った詐欺事件が発生しているようです」

   という注意書きが最近掲げられた。なんとも、「L$をあなたからもらいますけどいいですか」という英語のメッセージが送られ、安易に「Yes」をクリックすると持っているお金がすべて奪われてしまうという詐欺らしい。なかには、ハッキングによる仮想通貨の「強盗」もあったとセカンドライフ内では言われている。

メディアや大学まで登場している

   そして、なんとセカンドライフ内のメディアや大学まで登場している。
   テキサス州大はセカンドライフ内にキャンパスを設立。デンマークの南デンマーク大も巨大な「図書館」を築き、様々なネット上のサイトへのアクセスを可能にしている。ハーバード大は実物そっくりのキャンパスを設け、授業を動画で公開しているという。セカンドライフ内で学位を取得する、なんてことも将来的に可能になるかもしれない。
   さらに、ロイター通信やCNET(シーネット)ネットワークスなどなどのメディアも次々に支局を設立。動画を配信したり自社サイトへのリンクを貼るなどしている。なかには、「セカンドライフヘラルド」と名乗るメディア(?)まで登場し、

「セカンドライフはセックスのため(Second Life is All About Sex)」「(セカンドライフのデザイナー)Simoneのアカウントがハッキング」

   など、事件やゴシップネタ、セカンドライフ内で使うテクニックなどを紹介している。

   しかし、セカンドライフ内での使用言語は基本的に英語。物を作ったり、土地の売買もすべて英語だ。日本人にとっては、これは何よりも大きな障害のようで、あるアバターは

「英語が苦手だから、外国人に話しかけられると逃げます(笑)」「英語ができないから何やっていいのかわからない」

   とも語る。