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ダイハツ、「軽」で初の1位 スズキの巻き返しなるか

   2006年度の軽自動車販売台数で、ダイハツ工業は前年度比4.1%増の61万6,206台となり、スズキの60万5486台(同3.2%減)を抜いて、軽自動車販売1位の座をついに奪い取った。33年もの間、1位を守り続けたライバルのスズキが、06度年は軽より輸出向け小型乗用車の生産を優先し、「軽」一辺倒から抜け出そうとしている事情もあったが、軽人気を追い風に、これまでより上質感を打ち出した新型車を活発に投入したことが功を奏した。

スズキは33年間首位の座守る

ダイハツは、06年には「ソニカ」など3車種を投入した
ダイハツは、06年には「ソニカ」など3車種を投入した

   ただ国内全体の軽販売は06年度がピークになるというのが業界の共通認識。それでもホンダ日産自動車などが軽強化に乗り出しており、ダイハツの1位の座は安泰とは言えない。限られた有望市場を各メーカーが激しく奪い合うことになる。

   全国軽自動車協会連合会によると、軽自動車全体の06年度の新車販売台数は前年度比4.2%増の203万570台と過去最高を記録。ダイハツのシェアは30.3%、スズキは29.8%だった。スズキは73年度にホンダを抜いて以来、33年間首位の座を守ってきたが、新型車攻勢を強めたダイハツにその座を明け渡した。

   ダイハツが投入する軽の新型車は、多くて年に2車種だったが、06年度は「ソニカ」、「ムーヴ」、「ミラ」の3車種を出した。とくに台数が稼げる主力の「ムーブ」、「ミラ」がそろって4年ぶりの全面改良を迎え、年度後半の台数増に貢献した。これらの新型車は室内空間の広さや、加速性能にすぐれた点が売り物で、「安いけど狭い、走りが弱い」と見られがちだった軽への評価も高める役割を果たした。

トヨタと車両開発などで協力

   ダイハツは2007年が創立100年に当たる。98年にトヨタ自動車の子会社となり、車両開発や販売会社間の連携などで協力体制を構築。技術力を磨きトヨタグループの軽・小型車専門メーカーとして存在感を高めてきたことも、1位獲得の原動力となった。

   ただ、06年度のシェアは1位とはいえ、ホンダや日産自動車なども軽のシェアを伸ばしたため、05年度の30.4%より0.1ポイント下がった。「首位になって販売現場の士気は高まるが、1年限りで終わらず、定着することが大事」(広報室)との声が聞かれるが、07年度の新車投入数は06年度より少ない見込みで、今後は守りの戦いとなる。

   スズキも首位争いをあきらめた訳ではない。現在は国内工場の生産能力に余裕がなく、より利幅が大きい小型乗用車を優先させているが、2008年秋に静岡県牧ノ原市に新工場が完成すると、小型車を減らさずに再び軽の生産を増やすことが可能になる。鈴木修会長は常々、シェアについて「こだわる必要はない」と言いつつ、「1位はいずれ取り戻せる」とも発言。首位奪回への執念を見せている。