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東京海上日動・石原社長 気になる辞任時期

   保険金の不払い問題で金融庁から業務停止命令を受けた東京海上日動火災保険の石原邦夫社長の去就をめぐり、損害保険業界がやきもきしている。石原氏が現在、日本損害保険協会の会長を務めていることや、次期会長が、これも今回の行政処分で業務停止命令を受けた日本興亜損害保険から就任する予定であることなどが絡んでくるからだ。

世間の「目」を気にする金融庁

東京海上日動社長の去就に注目集まる
東京海上日動社長の去就に注目集まる

   東京海上日動や日本興亜損保など、2007年3月14日付で医療保険の保険金不払い問題で金融庁から処分を受けた10社は4月13日に業務改善計画を提出する。業務停止という最も重い処分となった東京海上日動は、石原社長が引責辞任することが決まっているが、問題はその「退き方」にある。

   持ち株会社(東京海上日動が社長を兼務)であるミレアホールディングスは4月12日開催の取締役会で、次期社長を指名委員会(取締役会の諮問機関)に一任。委員会が後継候補の擁立と石原氏の処遇について詰めるが、「世間の風向きを金融庁がどう読み、納得するかどうかが焦点」(損保関係者)だ。

   同社の後任の社長には、隅修三専務が昇格する方向で調整していると、4月7日付の日本経済新聞は報じた。問題は就任時期で、有力案は6月末。このときに石原社長も代表権のない会長に就く予定だ。

   ただ6月では、石原社長の6年任期の満了を迎えることから、「これでは引責辞任ではない」との批判を浴びそうで、金融庁の納得も得られないとの見方があり、まだ流動的だ。

協会長人事からみ、さらに複雑に

   一方、石原社長は現在、日本損害保険協会の会長に就いている。社内処分で東京海上日動の会長に就けないことになると、約2カ月を残して損保協の会長も交代という事態になる。

   損保協の会長交代は6月内定→お別れ会見→お披露目会見のスケジュールが慣例。すべてを6月にあわせることができれば、業界の混乱はやわらぐというわけだ。

   ところが、さらなる問題がある。協会長の後任会社が、これも業務停止処分を受けている日本興亜損保なのだ。日本興亜損保は4月1日付で、今回の行政処分を受けて松澤建・前社長が会長に就任し、兵頭誠社長体制がスタートしている。とはいえ、業務停止会社から業務停止会社へのバトンタッチを金融庁が許すとは思えない。

   損保業界としては、6月までは石原社長になんとか残ってもらいたいというのが本音のようだ。