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りそなグループの人事確執 HD細谷会長VSプロパー

   りそなホールディングス(HD)が07年4月25日に発表したHDと子銀行のトップ人事が憶測を呼んでいる。檜垣誠司取締役(55)を次期HD社長に起用し、水田広行社長(57)が傘下のりそな銀社長に、りそな銀の野村正朗社長(55)は同行副会長兼りそな信託銀会長に、それぞれ就任する内容で、HD社長から子銀行社長への転出は2年連続だ。りそなHDの細谷英二会長(62)は、自身が就任する前の経営陣を刷新する方針を早々と打ち出しており、「細谷独裁」の下でプロパー受難の時代を迎えている。

ひんぱんに社長交代が行われる理由

りそなHDのトップ人事が憶測を呼んでいる
りそなHDのトップ人事が憶測を呼んでいる

   細谷会長は会見で「トップが固定化すると新しい企業文化が生まれにくい」と、ひんぱんな社長交代の理由を説明。加えて、「ホールディングスは、私がCEO(最高経営責任者)的な仕事が出来るが、銀行業務に精通していない。銀行トップになる人材が育っておらず、水田さんを起用した」とも述べ、HDの社長より子銀行の社長を重視する考えを示した。

   だが、りそな内部では、額面通りに受け止める声ばかりではない。JR東日本出身で、銀行業務に素人の細谷氏と、野村氏に代表されるプロパーとの確執は公然の秘密だかだ。特に細谷氏と、野村氏は「口もきかないほど、関係が険悪化した」(同行関係者)とされる。

   細谷氏は、実質国有化されたりそなを抜本的に改革しなければならないとの立場。その目からは、プロパーの動きは鈍く映るようだ。一方、プロパーにしてみれば、銀行業務を知らない細谷氏の経営手法は場当たりに過ぎるとの不満がある。実際、銀行業界では「メガバンクが公的資金を返済した今、りそなだけが依然としてビジネスモデルを確立できないでいる」(大手銀幹部)との指摘がある。

「第1世代は今後2、3年でトップから退いてもらう」

   また、金融庁の肝いりで導入した委員会等設置会社による統治体制を巡っても、「素人の社外取締役が(経営の方向性についての)議論を深めていない」(りそな関係者)との不満がプロパーには強い。細谷氏が財界活動に熱心なことが、行内の感情的な対立を招いているとの指摘もある。

   ただ、小泉政権から安倍政権に交代しても、政府の変わらぬ支持を受けている細谷氏の基盤は揺るがない。細谷氏は会見で、自身が会長に就任した03年当時から経営中枢に在籍した水田氏や野村氏らを「第1世代」と呼んだうえで、「今後2、3年で経営トップから退いてもらう」と明言。その後は、自身が抜擢した「第2世代」に交代させる方針を示した。

   実質国有化以降、唯一留任している自身については「(もう辞めても構わないと)社外取締役に認めてもらうまでは、辞めるわけにはいかない」と、続投に意欲を示しており、実質的に「細谷独裁体制」が着々と築かれているとの見方が強い。