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「ハニカミ王子」質問に失笑 テレ朝がウッズに「仕込み」

   男子ゴルフ「全米オープン」の記者会見で、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンといった世界的なプレーヤーに対し、テレビ朝日のクルーが「ハニカミ王子を知っているか?」「ハニカミ王子にアドバイスを」などと質問し、失笑を買う場面があった。しかも、質問の前には練習中のウッズに「ハニカミ王子」のビデオを見せる「仕込み」の写真までもが海外メディアに掲載されていたことが明らかになった。

「アドバイスをお願いします」としつこくお願い

米国紙には日本のテレビ局クルーが「ハミカミ王子」をウッズに見せる風景が掲載された
米国紙には日本のテレビ局クルーが「ハミカミ王子」をウッズに見せる風景が掲載された
「ハイ、ミスター・ウッズ。日本ではプロ選手権で優勝したある選手の話題で持ちきりですが、彼はあなたのファンであなたのことがとても好きで、あなたのようになりたがってます。彼を知ってますか?」

   こんな「とんちんかん」な質問が2007年6月12日に米国で行われた「全米オープン」の記者会見の場で、テレ朝クルーからあのタイガー・ウッズに対してなされた。もちろん他の記者は真面目に「全米オープン」の質問をしているにも拘らず、である。

   さらに、こうした質問はフィル・ミケルソンにも及び、「石川君にアドバイスをお願いします」としつこく懇願。「石川君に『暖かい』メッセージをお願いします」というテレ朝の要求に対しては会場からは大笑いされる有様だ。
   こんな世界の舞台でなされた「場違い質問」には、日本メディアは総じて「酷評」している。

「メジャー大会には全く場違いな問いに、世界中から集まった報道陣のひんしゅくを買った」「会見場のあちこちで失笑が漏れ、質問者には冷たい視線が集まった」(共同通信)
「『全米オープンという場で、なぜ、こんな話?』と場違いな質問に米メディアから失笑が漏れていた」(デイリースポーツ)
「世界中から集まった報道陣は、何のことかわからない。それだけに、質問者はあきれ顔で失笑されるとともに、とうとう冷たい視線まで浴びせられていた」(夕刊フジ)
「会見場は失笑に包まれた」(産経新聞)

   国内各紙は海外メディアの「アキレっぷり」を報じている。
   さらにテレ朝が、タイガーウッズが「場違い質問」に答えられるように、「仕込み」まで行っていたことが明らかになっている。

練習中のウッズにノート型パソコンを見せる

「実はこれ、日本のテレビ局の"仕込み"。あらかじめ石川のスイング画像をウッズに見せ、会見で改めて『彼(石川)はアナタの大ファンで、将来アナタのようになりたいと言っているが、どう思いますか?』と尋ねた」(デイリースポーツ)
「テレ朝は会見の前日にウッズに石川のビデオを見せていた」(日刊ゲンダイ)

   こんな風に国内では報じられているが、実際、AP通信や地元メディアの記事には、日本人のテレビクルーが練習中のウッズにノート型パソコンを見せている写真が掲載されており、なかには「日本の若いゴルファーを見るよう要求され、ウッズは立ち止まった」という説明まで付されている写真もある。およそ取材とはいえない行為といわれても仕方がない。

   つまり、テレ朝は練習中のウッズを呼びとめ、パソコンで「ハニカミ王子」の動画を見るよう依頼。記者会場では「ハニカミ王子」についての質問をして、公に対してコメントしてもらうというシナリオが既に出来上がっていたというわけだ。ちなみに、朝日新聞は07年6月13日の夕刊紙面で「ウッズ、ハニカミ王子絶賛」と「勘違い」報道をしている。

   J-CASTニュースはテレビ朝日に対して見解を求めたが、「あくまで取材の一環だと考えている」とだけ述べている。