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パンチ当たらず倒れるタイ選手 9勝266敗5分驚愕の裏事情

   06年の日本国内でのタイ人選手のボクシングの戦績は9勝266敗5分けだったそうだ。07年も7月18日までで10勝105敗4分け。ムエタイが国技のタイはボクシングも強いはずなのに、日本のリングでは簡単にKOされ、「パンチが当たってないのに倒れる」ケースもある。JBC(日本ボクシングコミッション)は、タイ人ボクサーの出場を制限すると2007年7月24日に発表したが、その背景は驚愕すべきものだった。

実は亀田興毅の対戦相手は1戦から8戦までみんなタイ人

JBCでは、タイ人ボクサーの出場を制限すると発表
JBCでは、タイ人ボクサーの出場を制限すると発表

   JBCはJ-CASTニュースの取材にこう打ち明ける。

「だいぶ前からタイ人選手は著しく無気力で、出ると負け、タイの選手じゃ結果が分かる、との批判が多かった。最近では、パンチが当たってないのに倒れる選手もいて、お客さんあってのプロですから、ボクシングファンにそっぽをむかれかねない状況になりました」

   今後は事前審査を行い、真剣勝負にふさわしくないタイ選手は出場禁止にする。また、公正さを欠く試合が行われた場合は、プロモーターのライセンスを停止するなどの措置を検討するとしている。実は、10年ほど前にも同じような事例がフィリピン選手にもあって、JBCはフィリピン選手についてランキングボクサーしか日本のリングに登れないようにした。

   そういえば、亀田興毅選手は、第1戦から8戦まで、対戦相手はみんなタイ人。ファンからは「本当に亀田は強いのか」と言われていた。

   出ると負けのタイ人選手だが、タイはボクシング大国で、WBA世界スーパーフライ級王座を19度防衛したカオサイ・ギャラクシー。先ごろ内藤大助選手に敗れたがWBCフライ級を17度防衛したポンサックレック・グラティンデーンジム。辰吉丈一郎選手を2度、西岡利晃選手を4度退けたことから「日本ボクシング界の宿敵」と言われWBC世界バンタム級を14度防衛したウィラポン・ナコンルアンプロモーションなど、日本でもお馴染みの「ボクシング界の英雄」が多数いる。

スターを作るため「日本選手が勝てる相手しか選ばない」

   それでは、どうしてタイ選手は負け続けるのか。ボクシング、キックボクシングの「山木ジム」会長で、日本女子ボクシング協会(JWBC)会長の山木敏弘会長はJ-CASTニュースの取材に対し、

「タイ人選手はむしろ強く、タイの選手の出場を制限するなど(JBC)は責任転換も甚だしい」

   と憤る。今回の問題はプロモーターやマッチメイクする側の問題であり、タイ人選手への誤解を生むことになりかねない、というのだ。

   プロモーター側の問題とは「日本選手が勝てる相手しか選ばない」ということだそうだ。スター選手を作るために10戦10勝5KO勝ちなどのレコードを作ろうとするわけだ。勝ちが重なればランキングも上がり世界戦も視野に入ってくる。また、高額なカネを払って外人選手を招き、日本選手が負ければプロモーターの責任が問われるから、及び腰になってしまうのだという。そんな中で、注目されるようになったのがタイなのだという。ボクシング大国だから、強い選手から弱い選手までの幅が広い。

   さらに、

「カネさえもらえれば何でもいいや、と、負けることが分かっているのに来日する選手や、そんな選手を取り仕切る組織もある。来日する選手の中には、ボクシングから遠ざかり体育館の売店でモノを売っていたり、バイクの運転手をしている人もいる。ただし、プロボクシングの戦績があるからボクサー。練習していないため来日したときはハラがブヨブヨなどという例もある」

   そしてこうも話す。

「私たちは海外から選手を要請された場合、同じ選手レベルか、ひょっとしたら負けるかもしれないというギリギリの選手を出す。それがプロとしてのプライドであり、そういう試合でなければ、ファンに支持していただけないのは当然のことなんです」