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「環境に悪いからSUVやめるべき」 元上院議員発言に「オチ」が付く

   今度の米大統領選の民主党指名候補を争うジョン・エドワーズ元上院議員が、環境問題に配慮して「米国民はSUV車(多目的スポーツ車)をやめるべき」「米国民は地球上最悪の汚染者」などと発言したことが米国で話題になっている。しかも、「犠牲」を呼びかけたエドワーズ氏自身がなんとSUV車を2台も所有していたという「オチ」までついていた。

欧米で、SUV車排除の運動が展開される

   2007年8月30日までのFOXニュースなどによると、エドワーズ氏、フロリダ州の技術者組合のフォーラムのなかで、「米国民は犠牲をいとわなかった」とした上で、

「我々は今、地球上で最悪の汚染者(polluter)だ。米国民は世界の4%しか人口がいないのに、温室効果ガスの25%を排出している」

などと述べ、「米国民は変わらなくてはならない」と主張した。

   さらに、「米国民はSUV車をやめるべき」「米国民はもっと燃費のいい車に乗るべきだ」などと、SUV車による環境への悪影響を指摘し、排出ガス規制に積極的に取り組む姿勢を強調した。米国の報道では、エドワーズ氏の発言を「エコドライブ」にかけて、「ホワイトハウスの『エゴ・ドライブ』を批判した」などと表現するものもあるが、米国ではSUV車が人気を呼んでいるのと相まって、メディアを中心に大きな話題を呼んでいるようだ。

   最近では、SUV車は「環境に悪い」などとして欧米で、環境団体がSUV車を排除する運動を展開したこともあり、環境問題への関心が高まるなかでSUV車への風当たりも強くなりそうな気配もある。

米国よりも日本のSUV車はまだクリーン

   将来、大統領になるかもしれない同氏のこうした発言について、日本の自動車業界はどう受け止めているのだろうか。日本自動車工業会J-CASTニュースの取材に対し、

「日本の場合、燃費の改善や排ガスの改善が進んでおり、『SUVイコール環境に良くない』とは一概に言えない。確かにコンパクトカーなどの乗用車にくらべればそういったところもあるかもしれないが、あくまで比較の問題。環境対策については格段に良くなってきている」

と述べる。仮に米国が排ガス規制に乗り出す場合の日本企業の影響については、「どこの国も排ガスの規制はあるし、それをクリアしなければ売れないようになっている」として輸出などの影響はそれほど考えられないとしているが、

「日本車は燃費や排ガスを順々に改善してきた。それからさらに同じ割合で規制となると困る。今まで努力してきた分を考慮したうえで、規制値を考えてもらいたい」

といっている。もっとも、米国では排気量6,000cc以上クラスのSUV車も多く、日本のSUV車に比べると排気量だけでも相当の差がある。「日本のSUV車は環境の面で少なくとも負けてはいない」と同会が指摘するように、米国よりも日本のSUV車はまだクリーンな方だ。

   エドワーズ発言にはとっておきの「オチ」もある。
   SUV車に乗るのをやめる「犠牲」を呼びかけたエドワーズ氏だが、実は同氏もSUV車を所有しているのである。2007年8月30日のFOXニュースによれば、エドワーズ氏は「ハイブリッド フォードEscape」、「2004クライスラー Pacifica midsize」の2台を所有しているようだ。同氏側はハイブリッドではない「2004クライスラー Pacifica midsize」については「今は昔ほど乗ってない」と主張しているらしいが・・・。