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天然ダイヤモンド発見 「丹念に調べる」と日本各地に

   愛媛県の四国山地の火山岩から、天然のダイヤモンドが発見された。名古屋大学東京大学の研究チームが2007年9月10日、札幌市で開かれている日本地質学会(第114年学術大会)で発表したもの。新しい地質の日本列島では、ダイヤモンドの産出はないとの定説を覆す画期的な発見だ。ただ、丹念に調べると日本各地に存在しているのでは、という見方は以前から出ていた。

「ダイヤモンドといわれても…」と愛媛県

日本各地にダイヤは埋もれているのか(写真はイメージ)
日本各地にダイヤは埋もれているのか(写真はイメージ)

   ダイヤモンドの発見者は、名古屋大学で地質学を学ぶ水上知行さんで、愛媛県の山間部で数年前に採掘した火山岩にレーザー光を照射し分析したところ発見した。ただ、大きさは1000分の1ミリ程度(マイクロ・ダイヤモンド)で、顕微鏡でも結晶は見えないし、商業的に産出するものではないという。地質学的に貴重で保護する必要があるため、愛媛県のどこなのかも明らかにされていない。

   ダイヤモンドは、地球深部(120~150km以深)のマントルの高温・高気圧下で、炭素原子の配列が変化してできる。南アフリカや中国・山東省など世界的にも限られた場所で採掘され、日本のような地質の新しい場所では産出しないといわれていた。

   発見場所とされた愛媛県に話を聞くと、「それ(ダイヤモンドが発見されたこと)は知りませんでした」(愛媛県産業創出課)と驚いたようす。J-CASTニュースが心あたりを聞いても、「いや~、ちょっとわかりませんね」と答えるだけ。かつて世界一の産出量を誇った住友別子銅山があったほかは、県内で鉱山資源はまったくといって無縁。それなのに、「突然ダイヤモンドといわれても…」と、戸惑いを隠せないでいる。

変成岩からはマイクロ・ダイヤモンドが見つかっている

   しかし、日本でも「ダイヤモンド発見」の可能性は少なからずあったようで、日本地質学会のホームページにある「日本で天然のダイヤモンドが採れますか?」の問いに、名古屋大学大学院環境学研究科の榎並正樹教授がこう答えている。

   「宝石になるようなダイヤモンドは、キンバレー岩と呼ばれる特殊な岩石から採掘されている。一方、特に高圧で形成された変成岩からはマイクロ・ダイヤモンドが見つかっていて、これらの岩石が風化して再び固まった堆積岩からも発見されている。日本には変成岩が広く分布しており、これらを丹念に調べると見つかるかもしれない」

   発見が報告された愛媛県のケースは、まさにこのマイクロ・ダイヤモンド。ひょっとすると、まだ各地に埋もれている可能性もある?