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新聞社ウェブサイト戦争 産経大躍進、毎日半減

   10月にウェブサイトをリニューアルしたばかりの毎日産経の新聞2社だが、閲覧ページ数(ページビュー、PV)では明暗が分かれたようだ。マイクロソフト(MS)社と提携を始めた産経新聞は「リニューアル前の数倍」もある一方、MS社との提携を解消した毎日新聞は「およそ半分」。だが、毎日側は「MS社から流入していたPVが(毎日から産経に)移行しただけなのでは」としており、巻き返しを図りたい考えだ。

   両社は2007年10月1日にサイトをリニューアル。毎日新聞社は、04年からMS社と提携して運営してきた「MSN毎日インタラクティブ」を終了し、「毎日.jp」を立ち上げた。一方で、そのMS社と手を組んだのが産経新聞社で、「MSN産経ニュース」をスタートさせた。

   スタートから1ヶ月経ったが、両サイトの「スタートダッシュ」はどうだったのか。07年11月2日の産経新聞によれば、MSN産経ニュースの10月の月間ページビューは「3億4,500万」。記事中には、「新聞社系ニュースサイトとしては、最大規模のPV数」との誇らしげな解説まで付いていた。

新芸当?裁判を「実況中継並み」 読者も関心?

MS社と組んだ産経新聞のサイトはPVが数倍になった
MS社と組んだ産経新聞のサイトはPVが数倍になった

   産経新聞のウェブ関連事業を担当する子会社「産経デジタル」によると、リニューアル前の「Sankei Web」のPVは「詳細は公開していない」としながらも、「現在の数分の一程度」だったという。いわば、「リニューアルで大躍進」と取れなくもない。同社によると、躍進の要因は、MSとの提携効果の他に、ウェブに掲載される記事の位置づけを根本的に変えたことにあるという。

「『ウェブに掲載される記事は紙に載ったものの2次利用』という考え方を変えたことにあると思います」

   その一例として、11月2日のウェブの紙面では、秋田連続児童殺害事件で公判中の畠山鈴香被告(34)の被告人質問(3日目)の一問一答をひたすら掲載。記事1本あたり、やりとり10~15分が書き起こされており、17時現在、記事は16本目に達していた。いわば「実況中継状態」で、紙媒体にはできない「芸当」だと言えそうだ。

   そして、この「実況」へのアクセスが多いといい、「新たな流れが生まれるのでは」と期待を寄せている。

「J-CASTニュースさんはよくご存じだと思いますが、アクセスランキングにはゴシップや芸能ネタがランクインすることが多いです。ですが、今日の1時間ごとのランキングを見てみると、この(実況)記事が複数ランクインしています。このあたりに、読者の皆さんがどのような関心を持っているのか、という点で、新たな方向性があるような気がしています」

   また、同社では

「Sankei Webは構造上も、コンテンツ的にもシンプルなサイトでした。新サイトは、本当に誇りに思っているんです」

とも話し、終始、スタートダッシュの好調さへの喜びを隠さなかった。

MS社分が移行しただけで、半減は「想定内」

   その一方で、独自サイトとしてスタートした「毎日.jp」だが、10月のPVは、正式には週明けにも発表されるというが、毎日新聞社のデジタルメディア局によると、

「リニューアル前の半分程度で、ほぼ予想通り」

という。ちなみに9月18日に行われた記者会見によると、「MSN毎日インタラクティブ」のPVは、平均で月間3~4億程度。

   PV半減は「想定内」との構えだが、その理由については

「これまでのサイトでは、MSNから流入してきたPVが非常に多かった。それが単純に産経新聞側に移動しただけなのではないか」

としている。

「まずは半年間かけて、新サイトを整備していきたい」

と話しており、今後2年程度で、元々の3~4億PVのレベルに戻したい考えだ。

   なお、10月1日~21日の各新聞社系サイトのPV(家庭からのアクセス、ネットレイティングス調べ)は、最も多いのが「YOMIURI ONLINE」(8,392万)で、「asahi.com」(8,374万)、「MSN産経ニュース」(7,095万)、「NIKKEI NET」(6,704万)、「iza!」(6,029万)、そして「毎日.jp」(3,947万)と続く。

   上位は拮抗しているが、これに「毎日.jp」がどこまで食い込めるのかが注目される。