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ブログで病院恫喝を告白 東大卒エリート社長がお詫び

   東大卒で華麗な経歴を持つエリート社長男性が、自らのブログで病院職員を脅したことなどを漏らし、会社のホームページでお詫びする事態になった。最近、「東大出身者」や「公務員」らの同様な失態が相次いでいる。社会的なエリートにも、意外な弱点があるらしい。

「指の1本くらいじゃオトシマエつかんでぇ・・・」

病院職員への恫喝を告白したブログの日記コメント部分
病院職員への恫喝を告白したブログの日記コメント部分

   この社長は、資産運用を中心にした各種ソリューションを銀行などに提供する会社を都内で経営している。経歴を見ると、東大法学部卒業後、大手都市銀行に入行し、アセットマネジメント会社などを経て、2004年に独立した。このほか、関連会社社長やネット銀行のゼネラルカウンシル、金融関連会社の顧問などをしている。ところが、趣味の車について書いたブログが原因で、大騒動になってしまった。

   ブログ名は、「Eos日記~クーペ・カブリオレ大好き! フォルクスワーゲンEosとともに物欲と闘う毎日を綴る。」(現在は削除)。その2007年12月21日付日記のコメント欄で、近所の病院へ行って、順番待ちを3回もさせられ、1時間以上待たされてブチキレた場面を自ら書き込んだ。そして、会計窓口で自宅まで謝罪に来るように言い捨て、次のようなやり取りがあったことを告白した。

「で、病院の事務局の兄ちゃんが来たので、『ちょっとこっち来い』と真っ暗な駐車場に連れて行き、『オレと病院とどっちがウソついとんのや。オラオラ!』から始まり、『てめぇ人に頭下げんのに立ったままかい!』と注意を与えて冷たいアスファルトに正座させて30分ほど注意を与え、『職員の教育をもう一度徹底する』と約束させましたですよ」

   そして、サングラスに黒の手袋姿で、「4度目は指の1本くらいじゃオトシマエつかんでぇ・・・。次は若いモンつれて病院に乗り込むでぇー」と凄み、相手をビビらせたという。この行為を「脅迫」と指摘するコメントに対して、社長は「法学部卒の私の考えでは、『指の一本』=『菓子折ひとつ』『若いモンつれて』=『子連れで』という意味ですから、問題ないかと」と返していた。

   この日記は、12月22日になって2ちゃんねらーの目に留まったらしく、社長のブログが炎上。内容から会社や自宅などが次々に割り出され、2ちゃんねるでいくつもスレ立ちする祭り状態になった。会社でも慌てたのか、24日には、会社のホームページ上で、お詫び文と本人の謝罪文が掲載された。そこで、社長は「面白半分な安易な気持ちで、WEB等からの伝聞や矮小な事実を元に、誇大に膨らませて書き込みました」などと説明。ホームページはその後削除されたのか、現在はアクセス不能になっている。

強要罪に当たり、逮捕される可能性も

   日記の内容はウソの可能性もあるが、事実なら犯罪にならないのか。J-CASTニュースでは、刑法に詳しい日大大学院法務研究科の板倉宏教授に話を聞いた。

「お金を要求していないなら、脅迫、強要、そして、病院になら、威力業務妨害の可能性がありますね。読む限りでは、多分に強要罪ではあり、逮捕される可能性もあったと思います。コメントの言い訳は、弁解になっていません」

   この社長は、このほかにも恫喝的な行為をしていることがわかった。07年12月6日付日記では、近所のガソリンスタンドで洗車中に店員のミスでトランクが開いて水が入ったとして怒鳴りつけたことを自慢げに告白。さらに過去には、宅配便業者へのクレームで支店内に2時間以上居座って支店長を脅して土下座させたと明かしたり、コメント投稿者に日記で罵声を浴びせて警察に通報したと言い放ったりしている。中には、強要の可能性がある内容もある。

   最近のネットでは、社会的なエリートとされる人が犯罪自慢や差別表現をして窮地に追い込まれるケースが目立っている。例えば、J-CASTニュースの12月10日記事「『公務員』が子猫虐殺告白 2年前の日記でブログが炎上」では、千葉県内の「公務員」がやり玉に上がり、「週刊新潮」12月27日号がネットからの攻撃に怯える「公務員」を記事にしている。また、元ミス東大という東大4年生が、ブログ「あふじゃで研修中」(現在は削除)の11月11日付日記で、インドで会った子どもに対し「こじきのくせに」と書き込んでコメント欄が炎上する騒ぎになっている。

   なぜエリートが、自ら告白していることに気づかないのか。板倉教授は、「どうなっているんですかね」と首をかしげながら、こう話す。

「勉強ができたとしても、エリートには弱点があるんじゃないですか。実生活で、こういうことは面と向かっては言わないでしょう。が、ブログだと、分かる人には分かってもらえると思って、油断してしまうのかもしれません。ネット社会の病理ですね。エリートだから、こうしたことが目立つというのもあるでしょう」

   J-CASTニュースでは、恫喝行為を告白した社長が取締役を務める会社を通じて、その理由や事実関係を取材しようとした。が、受付の女性が「後ほど本人に連絡させます」と話し、その後連絡はなかった。