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満タンだと燃費が悪くなる 消費者のケチケチ作戦進行中?

   総務省が2008年1月29日に発表した12月の家計調査によると、1世帯当たりのガソリン代支出は6,775円と前年同月比8.7%増えた。一方で、給油回数も増加している。「えっ、ガソリン価格高騰の中で?」と疑問に思うかもしれないが、これは統計数字上のこと。実際のガソリン給油量は45.785リットルと同6.5%減少、消費者が一回の給油量をセーブしていることが分かる。

給油回数は1.40回と、前年の1.33回から増える

満タンだと燃費が悪い?(写真はイメージ)
満タンだと燃費が悪い?(写真はイメージ)

   統計数字をベースに単純計算すると、ガソリン価格はこの1年間に1リットルあたり約127円から約148円へと、21円近く上昇したことになる。価格上昇への対応策として、「なるべく、自家用車に乗らないようにする」と考える人が多くなり、ガソリンの使用量が減ったことから自然、給油量も減少するということだ。ところが、給油回数は1.40回と、前年同月の1.33回から増えている。これはなぜか。そのカラクリはこうだ。

   単純に考えると、1回の給油機会で給油する量が増えれば支払額も増加するため、消費者が給油量をセーブしているのだろう、ということになる。ただ、給油回数の増加には、もう一つの理由がありそうだ。昨今のガソリン価格高騰と高止まり傾向を受け、「どうせ自家用車を使うならば、少しでもガソリン使用量を減らしたい」ということで、省燃費運転を指南する報道やアドバイスも各種メディアに登場するようになった。停車中にエンジンスイッチをOFFにする「アイドリング・ストップ」を筆頭とするこうした地道な努力だが、「無駄な荷物を積まない」という努力ともに今、散見されるようになってきたアドバイスに、「ガソリンの満タンは避ける」というものがある。

満タンと空状態では成人女性1人分重さが違う

   ガソリンの比重は「0.75」。満タンで60リットルを給油したクルマでは、タンクが空の状態よりも45キログラム、つまり成人女性1人分、車両総重量が重くなるという計算が成り立つ。重量が重くなれば当然、燃費が悪くなる。これを積み重ねるとガソリン消費量にも大きな差が生じる、という視点だ。だから、「1回あたりは必要最小限の量で、こまめに給油が肝心」と消費者は考え始めたのではないか、ということになる。

   ただし、こうした省エネ運転術が総務省の統計にどれだけ反映されているかは定かではない。6週間連続で下がったとはいえ、ガソリンの小売価格は依然として高水準にある。庶民には生活防衛のため、地道な努力の積み重ねが求められるということだ。