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「ロス疑惑」三浦容疑者の不可解 「真犯人特定」のため年末ロス市警に?

   27年前の「ロス疑惑」で逮捕された三浦和義容疑者(60)は、一見矛盾するような不可解な行動をしている。米国ロサンゼルス市警に真相を説明するとして2か月前に渡米し、捜査の進展に気づいていた様子ながら、再び米自治領サイパン島に旅行して逮捕された。

捜査察知しながらも渡米?

東京地裁で行われた弘中惇一郎弁護士(右)らの記者会見
東京地裁で行われた弘中惇一郎弁護士(右)らの記者会見

   「何がなんだか分からない。今後どうなるんでしょうかね」。ロサンゼルス市警は2008年2月23日、同市内で1981年11月に妻の一美さん(当時28歳)を殺害した疑いで、三浦和義容疑者が電撃的に逮捕されたことを発表した。その後、三浦容疑者は、事件当時弁護人を務めた弘中惇一郎弁護士に電話でこう語った。東京地裁で08年2月25日に会見した弘中弁護士によると、サイパンで拘留中の三浦容疑者は、比較的元気というが、弱気な面も見せているらしい。

   新聞各紙や弘中弁護士によると、三浦容疑者は07年12月、事件の舞台となったロスに出かけていた。「事件の真犯人を特定したので、ロス市警に伝えに行く」と、三浦容疑者の告白本を出した出版社社長に語っていたという。「ロス疑惑」では、2003年3月、最高裁で三浦容疑者の無罪が確定している。しかし、米国では、日本のような殺人事件の時効がなく、事件が起きた米国にも裁判権がある。事情ははっきりしないが、三浦容疑者は、「捜査は近い」と出版社社長に話しており、何らかの市警の動きを察知して渡米した可能性がある。

   こうした市警の動きは、弘中弁護士も警戒していたようだ。会見で、「アメリカには行かない方がいいと申し上げたのですが、無視されてしまいました」と残念そうに語った。

   三浦容疑者は、一美さんの殴打事件(1981年8月)で懲役6年の実刑判決を受け、01年1月に出所。その後は、人権分野などで講演、執筆などのタレント活動をし、現在の妻の良枝さん(49)が神奈川県内で輸入雑貨店を経営する手伝いをしていた。サイパンには、4、5回、雑貨の仕入れやバカンスに出かけていたという。三浦容疑者は、「プリウス和」のペンネームでミクシィに登録していたようで、2月17日付日記には、翌日から1週間サイパンに行くと告げられていた。そして、滞在後の22日、現地の空港から日本に帰国しようとした直前に現地警察に逮捕された。

「取材にはノーコメント」

   各紙によると、三浦容疑者は出所後、情報誌の編集や映画のプロデュースをしたり、雑誌への記事執筆、講演活動をしたりしていた。講演では、ロス疑惑の体験から警察やマスコミを批判し、冤罪被害者の心情を訴えるケースが多かった。

   和歌山の毒物カレー事件では、殺人罪などに問われた林真須美被告(46)(最高裁に上告中)の無罪を訴える活動を展開した。06年1月に「林真須美さんを支援する会」を結成。林被告と接見したり、支援者集会を開いたりして、冤罪被害の防止を呼びかけていた。

   一方で、新たな問題も起こしていた。03年5月に東京都内の書店で雑誌を、さらに07年4月にも神奈川県内のコンビニでサプリメントを万引きした疑いで逮捕されていたのだ。前者では、起訴猶予となったが、後者では罰金30万円の略式命令を受けた。が、三浦容疑者はそれを不服として正式裁判になり、2月25日は、被告人質問の予定だった。

   雑誌万引きでは、当初、「有名なおれが万引きするわけないだろう」と否認したが、その後、「レジに並ぶのが面倒くさかった」と容疑を認めたという。サプリメント万引きでは、警察の調べに「被害者が言うなら間違いない」と認めたと報道されたが、現在は、「睡眠薬を飲んでいて記憶がない」などとして無罪を主張している。

   三浦容疑者には、二面性があるのか、言動に不可解な点が多く見られる。

   「ロス疑惑」が騒がれた当時は、数百件の訴訟を起こした。今回の逮捕についても、弘中弁護士は会見で、「本人も報道に注目していますので、くれぐれも裁判のような事態にならないようにお願いします」と異例の警告をした。

   J-CASTニュースでは、三浦容疑者側の言い分を伝えようと、所属事務所のアルファ・ジャパンプロモーションに取材を申し込んだが、「取材にはノーコメント」とのことだった。