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野菜洗う洗剤5倍以上売れた 中国製毒ギョーザ騒動の余波

   家庭で野菜や果物を洗剤で洗う人が急増している。きっかけは中国製の冷凍農薬入りギョーザ騒動で、食材用洗剤「レヴォ・ピュール」を販売するEST LINKSでは、事件前の「5倍以上の売り上げ」と明かす。先進国の中で野菜を洗剤で洗う習慣が無いのは日本くらいなようで、専門家は「市販の野菜はもちろんだが、有機栽培野菜も専用洗剤で洗ったほうがいい」と話している。

残留農薬、ワックス、防腐剤などが落ちる?

野菜を洗う洗剤の売れ行きが好調だ
野菜を洗う洗剤の売れ行きが好調だ

   食材用洗剤は主に中小メーカーが製造していて、かなりの種類が出ている。ネットを中心に販売されている。野菜や果物のほか、鮮魚を洗うものもある。

   野菜用洗剤は水に溶かして使用する。ボールなどに液を入れ、そこに野菜や果物5分~10分浸す、というものが多い。浸した野菜を水で濯げば、残留農薬、ワックス、防腐剤などの有害化学物質が落ちるというものだ。値段は通常の食器用洗剤よりも高く、250 mlで1,680円、800 mlで税込み3150円というものもある。

   EST LINKSが食材用洗剤を発売したのは3年ほど前。当時は野菜を洗剤で洗うことに抵抗感が強く、思ったようには売れなかった。それが「毒ギョーザ」騒動で主婦が不安感を持つようになり、注文が殺到した。事件前の5倍以上の売れ行きになっているという。

   プチトマトを容液に浸すと農薬が落ち溶液は黄色に変わり、ほうれん草や小松菜を浸すと葉のヌメリが取れ、不純物も落ちるのがはっきりわかるという。

「これほど農薬や不純物が付いていたんだ、と驚き、洗剤を使わないと不安になるお客様も出ています」

と同社では話している。

有機野菜も卵も洗剤で洗え

   生活環境改善のコンサルタント・創研の社長で理学博士の三浦博さんは、「毒ギョーザ」事件を目の当たりにして、

「日本の消費者も少し賢くなってきたのではないか」

と考えているという。食生活を守るため洗剤を使わないのは先進国では日本くらいで、当の中国でもセレブ層を中心に使われているのだという。アレルギーや内臓疾患、食中毒は野菜に付いた農薬やワックスなどが影響している例もあるようで、

「野菜の残留農薬など関係ないと思っていた人も、そうではないかもしれない、とうすうす気がつき始めた。無農薬野菜を求める消費者も多くなりそうだが、全て無農薬にならない以上、洗剤の使用をお勧めしたい」

と話している。

   ちなみに、有機野菜に残留農薬は少ないものの、カビが繁殖して人体に悪影響が出る可能性があるため、洗剤を使ったほうがいいのだという。また、鶏卵を洗剤で洗えば、鮮度が長持ちするそうだ。