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ガソリン4月値下げ店が続出! 「追随するしかない」との声

   ガソリン税などの暫定税率が延長できない見通しとなり、4月1日から税率分の1リットル25円下げると予告するガソリンスタンドが続出している。競争激化や消費者への配慮から「追随するしかない」と漏らす声もあり、今後も値下げするスタンドは増えそうだ。ただ、車列ができたり品切れしたりなどの混乱を懸念する声も多く、政府の早急な対応を求める声が強い。

北海道、東北のスタンドが値下げ

4月1日から25円値下げのガソリンスタンドが続出?
4月1日から25円値下げのガソリンスタンドが続出?

   ガソリン税は、製油所出荷時に課税される「蔵出し税」。このため、各ガソリンスタンドは、4月に入っても9日前後は税上乗せ価格の在庫を抱えるとみられている。ところが、ここ一両日の間に、相次いで1日から税率分25円を下げると宣言するスタンドが報じられるようになったのだ。

   その一つが、北海道で36店を展開している旭川市の大手ガソリンスタンド「茂田石油」。札幌テレビ放送は2008年3月26日、「ガソリン 25.1円引き」との大きなポスターを張り出すスタンドの様子をニュースで伝えた。それによると、赤字覚悟の値下げといい、同社専務は「利用者に喜んでいただきたい」と話していた。また、北海道新聞は27日付記事で、茂田石油のほか、同じ旭川市の「日東石油」や音更町の「JA木野」も4月1日から25円値下げすると報じた。

   このほか、27日の各紙記事で、福島県の「会津ゼネラル」、青森市の「ケー・エスオイル」がそれぞれ25円値下げすることが伝えられた。

   福島・新潟両県で21店を展開する「会津ゼネラル」のSS事業部長は、J-CASTニュースの取材に対し、「4月になれば自動的に値下げされると思っているお客さまが大部分なようです。(蔵出し税のことを)店頭で説明しても、混乱を招くだけ。そうすれば、会社のイメージが悪くなって、長期的にマイナスが出ると考えました」と理由を説明した。値下げの反響は多く、「分かりやすくていい」などと支持の声ばかりが寄せられているという。同社では、買い控えの影響や値下げへの備えのため、3月末時点での在庫を2~3日分に切り詰める調整をしている。

「値下げしないよう系列のスタンドに要請」はウソ?

   3月27日時点で値下げを明らかにしているスタンドは一部だが、各紙とも、競争激化などからさらに波及する見通しと報じている。関東で店舗を展開するさいたま市のガソリンスタンドでは、J-CASTニュースに、「25円の値下げなんてとんでもないことですが、ほかのスタンドが先行すれば追随するしかない」と明かした。消費者から「なんでお前のところは値下げしていないんだ」と言われるのを危惧しているという。

   同社が発注しているタンクローリー配送会社では、「4月に入ってどの程度が売れるか分からない」として、3月末まででスタンドからの自動発注を止めて電話受注にすることにしたという。このため、スタンド側は、「発注が殺到すれば、あっという間に品切れになる」と心配していた。

   一部の新聞では3月26日、スタンドへの悪影響を防ごうと、石油元売り最大手の新日本石油が4月1日以降も値下げしないよう系列のスタンドに要請していると報じた。しかし、同社は27日、J-CASTニュースの取材に対し、「そういう事実はありません。うちがスタンドを運営しているわけではないですし、再販価格の指示になるからです」と答えた。ただ、「適正な在庫を確保し、品切れしないように、スタンド側にお願いしています」とした。4月1日から25円下げる系列のスタンドがあるとは聞いていないという。

   一方、ガソリンスタンドでつくる全国石油商業組合連合会は、買い控えでスタンドの資金繰りが悪化するとして、各元売り会社に3月分のガソリン税支払いについて2か月間繰り延べるよう要請した。産経新聞の27日付記事によると、各元売り会社はスタンドごとに支払いの延長などを検討する方針としている。ただ、「ありがたいですが、その対象になるかどうか分からないので、当てにしないことにしています」(会津ゼネラル)との声も出ている。

   全国のスタンドが4月1日から25円値下げすると、約400億円の損失になるという。これに対し、各報道によると、福田康夫首相は、3月末までに記者会見し、スタンドへの救済策を打ち出すことを検討している。前出のさいたま市のスタンドでは、「今は、政府の救済措置を見守っている状態です。政府が4月1日からガソリン税の還付をするようなら混乱はないのですが…。早く指針を出してほしい」と話していた。