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携帯電話出荷が48%減 国内市場ピンチでメーカー海外へ?

   電子情報技術産業協会(JEITA)が2008年10月8日に発表した8月の携帯電話・PHSのメーカー出荷台数は、前年同月比48.6%減の216万6000台で、これまでにない低迷ぶりだった。最近では携帯端末で最大のシェア(市場占有率)を持つシャープも、不振から業績を下方修正せざるを得なくなっている。背景には、携帯電話端末の販売方法が割賦方式に変わり、ユーザーの買い控えが続いていることがある。

トップシェアを持つシャープも大幅落ち込み

   携帯電話市場が大きく冷え込んでいる。下げ幅は、94年の統計以来最大のものだった。JEITAは08年8月の急速な冷え込みについて、

「夏モデルに新しい機能が少なく、夏商戦が長続きしなかった。また、新販売方式で、旧機種安売りモデルがなくなったことにより、一部に様子見のユーザも見受けられる」

と分析している。

   現在、1億台超が普及して、国内の携帯電話市場は1人1台を持つ飽和状態。これに加え、ソフトバンクモバイルに続いて、NTTドコモ、KDDIが携帯電話端末の販売方式を改め、07年から割賦方式にした。携帯電話端末を2年契約とし、割賦で払う料金プランが主流で、途中解約すればユーザーに不利となるため、買い替えサイクルが一気に伸びた。

   携帯端末のトップシェアを持つシャープは2008年10月6日、09年3月期の連結業績予想を下方修正すると発表した。本業のもうけを示す営業利益が前回予想から650億円減の1300億円となった。最大の要因は携帯電話の販売の落ち込み。実際、08年4~6月期の販売台数が前年同期比で39%も落ち込んでいる。シャープでは、「国内では引き続き競合他社の先を行く新しい商品の創出に努める」とする一方、「中国市場に日本で人気の高付加価値端末を投入し、高機能高品位商品でのシャープブランドを確立し、事業拡大を図っていく」としている。

パナソニックがアジア進出と報道される

   最近では携帯電話事業から三菱電機が撤退するなど、開発で負担を強いられる「消耗戦」になっている。JEITAの発表では、08年8月の時点でワンセグ搭載機種が8割を超えるなど、「国内ではカメラやワンセグなどハード面での機能が消費者にとって魅力的」(携帯市場関係者)という傾向が根強い。市場の冷え込みに加え、開発費がかさむという苦しい状況を強いられる。

   飽和した状態の国内市場から、海外の市場に活路を求めるメーカーも出てきそうだ。シャープが中国市場に進出したように、国内メーカーの海外進出も問い沙汰されている。パナソニックは2010年にもアジア進出するとの報道があった。パナソニックモバイルの広報担当者はJ-CASTニュースに対し、「いつかは進出したいということはあるが、具体的に決まっていることは何も無い」と話している。