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「ユニバレ」は恥ずかしいか ファッション巡って熱い議論

   衣料品が売れないと悲鳴を上げるメーカーが多い中で、「ユニクロ」の冬用下着「ヒートテック」や、キャミソールにブラジャーのカップを付けた女性用下着「ブラトップ」が大ヒットしている。おしゃれに敏感な若い女性のイメージもぐっと良くなり、「ユニクロが好き」という人も増えている。その一方で、ユニクロを着ていることを他人に知られてしまう「ユニバレ」は嫌だという人も多く、ユニクラー(ユニクロを好んで着ている人)VSアンチ・ユニクラーの間で激しい議論が起こっている。

「『ユニバレ』が嫌というより『ユニ被り』が怖い」

   ファッション、女性誌、トレンドをウォッチするブログ「Elastic」に2009年1月6日、「ユニバレは避けたいですか?」と題する記事が書き込まれ、話題になっている。「ユニバレ」とは、ユニクロの服を着ていることがバレてしまうことを指す略語だ。

   ブログの主であるdaleさん(20歳代)が「ユニクロはダサい? ダサくない?」というアンケートを行った結果、「ダサくない」と回答した人が74%と圧倒的だった(調査期間08年12月13~20日、回答数1725票)。一方、回答の中には「アウターや目につきやすいところにユニクロを持ってくる人は少ない」という指摘もあり、daleさんはその背景に「ユニクロは好きでダサいとも思わないんだけど、ユニバレは避けたい」という複雑な心理があるのではないか、とみている。

   この記事に対して、120件以上ものコメントが書き込まれている。「ユニクロ」を着ているという人の中には、「『ユニバレ』が嫌というより『ユニ被り』が怖い」といった意見も。「ユニ被り」とは、他人と着ているユニクロの服が被ってしまうことだ。ある学生は最近、ユニクロのロングパーカーとVネックニットを買ったが、いずれもキャンパス内で被ってしまい、以来部屋着にしているという。ユニクロの服は流通量が多いために、他のブランドに比べて被る確率が高いようだ。別の女性は、こんなエピソードを紹介している。

「以前、横断歩道の前で信号待ちしている時に、ダッサくて全然構わない格好のオバチャンが、私とまるきり同じユニクロのデザインTシャツをその人が着ていた事があって、思いっきりお互いがお互いを凝視してしまって、そのとき、びみょーーーーな気持ちになりました。何か周りの人まで、『あの人達同じ服着てる』と、私たちの事をチラ見してる感じで」

   「ユニバレ全然恥ずかしいと思わない」「むしろ友達なんかには、自分から『コレ、ユニクロで~円だった(笑) 』みたいに話しちゃいます」という女性もいる。もっとも、インナー用のTシャツや、下着、靴下といった目立たないアイテムばかりだが。ほかにも、「特に消耗品とも言えるインナーに関しては高いブランドをわざわざ買おうとも思いません、冬ならインナーの露出は少ないですしね」という意見もある。

   大ヒットした冬用下着「ヒートテック」や、キャミソールにブラジャーのカップを付けた女性用下着「ブラトップ」は、機能面だけでなく「ユニバレ」しにくいという理由でも人気のようだ。

   また、ポータルサイト「goo」で、「ユニバレ」が「goo注目ワード」として1月25日にピックアップされている。記事の筆者はジーンズやヒートテック、タートルカットソーなどのユニクロの製品を愛用しているが、アウターの購入に踏み切れないでいた「隠れユニクラー」だったと明かす。ところが、最近、「キルティングパーカ」に目が留まり、ついにアウターデビューしたそうだ。

「今となっては、バレないように隠すどころか周りの友人にも勧めるまでになりました」

賛否両論で盛り上がるのも注目されているから

   一方、前出のブログ「Elastic」のコメント欄には、「ユニクロの服は理想を言えば正直着たくありませんが、お金が無いので仕方が無いのです」「はっきり言えばユニクロはダサい私も着ないで済むなら着たくないです」という意見も多く、ユニクラー(ユニクロを好んで着ている人)VSアンチ・ユニクラーの間で議論が起こっている。

   都内企業に勤め、ファッションに興味があるという20歳代の会社員の女性は、こう話す。

「ファッションは機能や必然性とは関係のないところで成り立っているものだと思います。ブランドのコレクションに登場する服は、布の量が多くて動きづらかったり、ちょっと座っただけで破けそうだったり、裸が透けて見えたり、とてもじゃないけど街なかを歩けないですよね。市場に出回るものはもう少し着やすくはなっていますが、よっぽどその服(ブランド)を理解して夢中になれないと値段も含めて買えないものです。ファッションを貫くのは、本来、『根性』が入ります。でも、ユニクロを着るのには(根性は)いらないですから、あくまで必需品としての衣服なのでしょう」

   賛否両論あるが、これだけ盛り上がっているのもユニクロが注目されている証だと言えそうだ。

   09年1月16日付け日経流通新聞には、こんな調査結果が載っている。20歳以上の男女1074人に行った消費者調査によると、1年前に比べて服にかけるお金が増えた人はわずか10%だが、ユニクロの服への出費を増やした人は19%。その45%が百貨店での服の購入額を減らした。百貨店で買い物を減らしている理由(複数回答)では、65%(女性63%)が「ユニクロ商品の方が値ごろ感がある」と回答。「(ユニクロの)品質が良くなった」も34%(女性33%)いる。また、百貨店での買い物を減らしユニクロでの買い物を増やした女性で、「商品がおしゃれでデザインも良くなってきた」と考える人は35%に上った。調査は日経MJとNTTレゾナント(東京・港)のgooリサーチが共同で1月9~11日にインターネットで実施した。