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日産が09年度広告費「大ナタ」新聞、雑誌、ラジオはゼロ?

   世界的な景気低迷を受けて、自動車各社の業績も「総崩れ」状態だ。各社とも人員削減など「大ナタ」をふるうなか、日産自動車は全運動部を休部するなどの対応が波紋を呼んだ。加えて、同社は2009年度から広告費を大幅に削減することが明らかになり、マスコミ業界には大きな痛手になりそうだ。

テレビCMも絞り込んでいく

   日産自動車は2009年2月9日、09年3月期の連結決算見通しを下方修正する、と発表した。従来は2700億円の黒字だと予想されていた営業損益を1800億円の赤字に修正したのだ。営業赤字は1995年3月期以来で、カルロス・ゴーン社長の就任後初めての事態だ。これを受けて、全世界の従業員の1割近い約2万人を削減し、運動部を休部するなどのリストラ策も発表された。

   さらに、同社は、09年度から広告費の大幅削減に踏み切るというのだ。同社広報部では、

「業績が厳しいことを受けて、広告費についても削減を厳しく進めています。媒体が持つ影響力を考えて、出稿のやりかたを検討しているところです」

と明かす。

   日経広告研究所の調べによると、同社の07年度の広告宣伝費は396億3000万円で、国内有力企業の中では9位にランクインしている。これが大幅に削減される形だが、同社では、削減幅については明らかにしていない。

   ただ、出版関係者からは、

「テレビのスポットCM以外の、雑誌、新聞、ラジオ広告の出稿はゼロになってしまうと聞いている」

といった声も出てきており、実際、ある出版社では「出稿取りやめ」を宣言され、1誌あたり年間1500~2500万円の広告収入が失われる見通しだ。

   もっとも、日産側は

「確かに、出稿を減らすことを(出版社などに)お知らせしているケースもあります。テレビCMにしても、提供している番組を精査しながら、絞り込んでいく予定です」

と、「広告費大幅カット」の方向性については認めながらも、「スポットCM以外は『全滅』」との見方を否定している。

ワールドカップや中日クラウンズなども現在検討中

   今回、広告費の大幅カットが明らかになったのは日産のみだが、自動車業界の業績は「総崩れ」なのが現状だ。例えば09年3月期の連結決算では、日産以外にもトヨタ自動車、マツダ、富士重工業、日野自動車が営業赤字を計上する見通しだ。

   さらに、日本の広告業界で自動車広告が占める位置は決して小さくない。前出の日経広告研究所の調査によると、国内有力企業で広告費が多い上位10社(07年度)のうち、自動車メーカーが3社を占めている。日産以外でランクインしているのはトヨタ自動車(1位、1083億4000万円)とホンダ(3位、913億4000万円)。トヨタについては前年比で2割程度の削減にとどまるのでは、と業界ではみているが、

「ワールドカップや中日クラウンズなどの協賛関係については、現在検討中なのですが、(広告出稿などの)詳細については、回答を控えさせていただきたく思います」(トヨタ自動車)

としている。

「09年度の広告宣伝費については、まだ予算を組んでいる途中で、まだ上層部で議論をしている段階です。かなり厳しいということは認識しているんですけどね…」(ホンダ)

   両社とも態度を明確にはしていない。ただ、前年をかなり下回るのは確かなようだ。