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中川財務相「日本の恥」会見 風邪薬だけが原因なのか

   しどろもどろの会見をした中川昭一財務相兼金融担当相は、お酒を飲んで風邪薬を服用していた。内科医によると、酒と薬の併用はその分解力を倍も弱めるという。ただ、風邪薬を飲み過ぎでも、緊張する場面であれば、ちゃんとしゃべれるそうだ。

酒癖の悪さが有名で、今回も泥酔疑惑が

ユーチューブ動画も載せた英タイムズ紙の記事
ユーチューブ動画も載せた英タイムズ紙の記事
「あのぅ~ ふぅ…」

   泥酔状態にも見えるG7終了後の中川昭一財務相の記者会見。そのニュース動画は、ユーチューブに次々にアップされ、英タイムズ紙など海外の新聞にも転載。「日本の恥」として、ネット上で騒ぎになっている。

   会場の伊ローマであった2009年2月14日の会見で、中川財務相は、壇上に座りながら、目はうつろで、今にも寝入りそう。記者からの質問に対し、「これからの状況に向かっての…」と言ったきり、目をしばたきながら黙り込んだ。その沈黙がなんと10秒ほども続き、さらにこんなボケをかましたのだ。

「Gぃ20…」

   さらに、考えられないようなトンチンカンな受け答えがあった。

   記者が横に座っていた日銀の白川方明総裁を指名して質問をすると、「な、なに、もう一度言って」ととんだ勘違いをする。また、中川財務相への質問でも、「どこだ」と記者の所在すら見えない様子。白川総裁らから「あちらです」と次々に耳打ちされ、「おう」とようやく把握した。会見中は、「あのぅ」「まあ」を連発し、何度も口に手をあてて、あくびをしているようにも見えた。

   中川財務相は、政界ではその酒癖の悪さが有名だ。総選挙期間中に泥酔した様子がテレビに流れたり、宮中晩餐会で悪酔いしたと週刊誌に報じられたり。武勇伝があるだけに、今回も泥酔疑惑が指摘されている。

   しかし、本人は、日本に帰国後の16日、ヨレヨレ会見について、「風邪薬を多く飲み過ぎた」と釈明。お酒については、イタリアに向かう機内や会見前の昼食でワインを飲んだことを認めたが、たしなんだ程度とし、「大量飲酒」は否定した。

風邪薬を飲み過ぎでも「緊張する場面であれば、ちゃんとしゃべれる」

   風邪薬を飲み過ぎて、ろれつが回らなくなるほどの副作用はあるのか。

   永寿総合病院(東京・台東区)の内科部長をしている堀江義則さんは、中川財務相のケースはよく分からないとしながらも、こう話す。

「風邪薬には確かに、眠くなる作用がある抗ヒスタミン剤などが含まれています。しかし、寝ぼけたり居眠りしたりするかもしれませんが、緊張する場面であれば、ちゃんとしゃべれるでしょう。飲み過ぎたからと言って、ろれつが回らないようなことは、普通はありませんね」

   堀江さんは、一過性脳梗塞の可能性はあるとみる。ただ、薬と酒を併用すると、風邪も酔いもなかなか回復しないという。「薬もお酒も、同じ酵素で分解しています。ですから、併用すると、分解にかかる時間が2倍に延びることになります」。つまり、酒が強くても、薬を飲んだために、2日酔い状態になってしまった可能性もあるというのだ。

   中川財務相も、ローマへの機中で薬とお酒を併用したため、その悪い「相乗効果」があったと認めている。なぜ、風邪をひいているにもかかわらず、お酒を飲んでしまったのだろうか。

   G7では、なんと重要な会議中も居眠りしていた疑惑が海外メディアに報じられているのだ。米ABCテレビの記者ブログは2009年2月14日付エントリーで、「目を開けているのすら、大変な仕事に見えた」と指摘。そして、こう皮肉っている。

「15時間のフライトによる時差ボケはあるのだろう。しかし、あなたの国の経済は、年間2.5%も縮小すると予想されており、トヨタや日産のような自動車メーカーが何万人も解雇するような状況だ。それがあなたの目を覚ますのには十分ではないのか」