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脳にスイッチオン 「朝カレー」流行の兆し

   カレーといえば、昼や夜に食べるメニューというイメージが強かった。しかし最近は少し違う。朝、カレーを食べる人が増えているようなのだ。関東の食卓では「朝カレー率」が2割ほどアップした。脳の活性化につながるという研究もあることから、特に受験期を迎える中学生の間で「朝カレー」の人気が高まっているらしい。

受験の朝のメニューは「カレー」が一番!?

朝、カレーを食べる人が増えている
朝、カレーを食べる人が増えている
「やはり、受験日の朝は、カレーですね」

   テレビの情報番組でもおなじみの家庭料理研究家・奥薗壽子さんは2009年2月1日、ホームページの日記でそう記した。息子の入試当日の朝、何を食べさせるべきか。迷ったあげく、カレーに決めたのだ。

   前日の晩にうす切り肉と野菜(ジャガイモ、ニンジン、タマネギ)をフライパンでさっと炒めて土鍋に移し、水を入れて加熱する。沸騰したら弱火で5分だけ煮て、火を止める。あとは余熱で野菜も肉もとろりと柔らかくなるので、翌朝、ルーを入れて温め直せば出来上がりだ。

「スパイスの薬効って あまりぐつぐつ煮込むと、揮発してしまうので 朝、さっと煮る これで、ベストの状態のカレーができるというわけです」

   奥薗さんが「受験の日は朝カレー」と決めたのは、東洋医学の専門家である丁宗鐵医師の著書『「カレーを食べる」と病気はよくなる』を読んだのがきっかけだった。そこでは、カレーのスパイスの薬効のおかげで体のスイッチがオンになり、脳も活性化されるという「朝カレー」のメリットが紹介されていたのだ。

mixiに「朝カレー部」登場、Youtubeには「朝カレーの歌」

   日本薬科大学教授で、東京・日本橋のクリニックを経営する丁医師は、カレーのスパイスと漢方の生薬に共通点があることに注目し、カレーが脳や体に及ぼす影響を研究してきた。カレーを摂取すると脳内の血流が2~4%増え、脳の「情報処理」を担当する部分の働きが活発になる――そのような実験データを得た丁医師は、

「カレーを食べると脳が活性化されるので、仕事や勉強の前にカレーを口にするのは理にかなっている。特に、午前中から頭をフル回転させる必要がある受験生にはぴったり」

と、朝カレーを食べることを推奨してきた。そんな薦めもあって、奥薗さんのような朝カレー派がじわじわ増えている。

   首都圏の家庭の食卓情報を解析するNTTデータライフスケープマーケティングの「食MAP」によると、2008年(1~9月分)にカレーが朝食に登場した頻度は前年よりも17%多かった。特に中学生の間で人気が上昇中で、高校受験真っ盛りとなる2月には前年比260%アップという大きな伸びを示した。

   SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトのmixiでは、「朝カレー部」という名前のコミュニティが立ち上がり、朝カレーを実践している人たちが情報交換を始めた。動画サイトYoutubeには「朝カレーの歌」が登場。ギター片手に「♪朝からカレーを食う彼(かれ~) 食欲なくても食えるだろう♪」と楽しそうに歌う男性の動画がアップされた。

   さらには、「朝カレー」という名のレトルトカレーまで出現した。忙しい朝にふさわしく、温めないでご飯にそのままかけるだけで食べられるのが特徴だ。

   では、朝カレーを食べるときのポイントは何かあるだろうか。丁医師にたずねると、次のような答えが返ってきた。

「できれば野菜をたっぷり入れて栄養のバランスをとることを薦めたいですね。そこまで余裕がない場合でも、ショウガやシソの葉をきざんで入れたり、大根おろしを合わせたりといったワンポイントの工夫をすることで、風邪や花粉症の予防に役立てることができます」