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朝日襲撃事件の新潮記事  朝日新聞「虚報」と断じる 

   週刊新潮が連載した「実名告白手記」に、朝日新聞が正面から反論した。2009年2月23日付の朝刊に、1ページ全面を使って検証記事を掲載、「虚報」と断じたのだ。

「『虚報』」の責任を負わなければならない」

   この手記は、「朝日新聞阪神支局襲撃事件」(1987年)の「実行犯」と名乗る島村征憲氏(65)の「実名告白手記」として、週刊新潮が2009年1月下旬から4号にわたって連載したもの。しかし朝日新聞は、手記の連載当初から「事実と明らかに異なる」、「連載が終了した段階で内容を検証し、本紙で明らかにします」としていた。新潮の手記は09年2月26日号で終了、検証記事では朝日新聞の見解を詳細に示した形だ。

   検証記事によると朝日新聞は、週刊新潮から手記の掲載前に「(島村氏の)特に重要と思われる証言」5項目について質問を受けている。「(犯人は犯行時)顔は隠していなかった」、などの証言に対し朝日新聞は、「目だし帽」を着用していたという客観的事実に反する他、全て「事実と異なる」と事前に回答しているという。

   この5項目以外にも、手記に掲載された「凶器」や「犯行動機」など9項目が、客観的事実と食い違う、または06年、朝日新聞が島村氏に面会した際の取材内容と変遷している、と指摘している。朝日新聞社の事件取材班は「『虚報』の責任は、証言者だけでなく新潮社も負わなければならない」と批判した。

「事実ではない、と決めつけたりしている」と新潮側

   週刊新潮はどのように反論するのか。同誌編集部はJ-CASTニュースの取材に対し、

「朝日新聞の検証記事は、例えば最も重要な襲撃現場の状況について、当時の記者の記憶で『再現』したものと異なる証言だから事実ではない、と決めつけたりしている」
「手記において『秘密の暴露』や『物証』にあたる部分はすでに提示しており、後は捜査当局の判断を待つだけです」

と回答した。

   しかし、朝日新聞の記事中で兵庫県警の警備部幹部は「(新潮の)記事には犯人しか知り得ない『秘密の暴露』がなく、事実に基づく証言とは考えていない」と話している。新潮社の考える「秘密の暴露」とは何か。また、朝日新聞に対して反論するのか。これに関して、新潮社に対し追加取材を試みたが、23日19時現在、回答は寄せられていない。