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週刊新潮は「孤立無援」 「朝日襲撃犯」手記に新聞各社猛反論 

   週刊新潮の朝日新聞襲撃事件「実名告白手記」に、朝日新聞が2009年2月23日付の朝刊で大々的に検証記事を掲載し反論したことから、新聞各社もいっせいに新潮記事への反論が始まった。見出しは「真実性なし」「虚言」など、新潮は四面楚歌だ。

作り話なら廃刊もあり得る

   翌09年2月24日の読売新聞朝刊では「新潮社に説明責任」として強く批判している。記事によると、週刊新潮で「襲撃」を告白した島村征憲氏(65)は、04年10月に「オレオレ詐欺」に関与した容疑で逮捕されているが、その際に、東京・八王子で起きたスーパー強盗殺人事件(1995年)の「実行犯」だと主張していたとしており、この点からも警察幹部は「島村氏の告白は不自然」と指摘している。

   そもそも連載当初から数々の批判にさらされていた。週刊文春は、島村氏の元妻や当時の後見役、「手記」の中で犯行声明を書いたとされる「野村秋介氏」に関係した人物の証言から「客観的事実と異なる点が続出」と書いた。サンデー毎日も野村氏の関係者に取材し、その中で右翼団体「八千矛社」の犬塚哲爾代表は「手記」に対し「もしフェイク(作り話)であれば『週刊新潮』は廃刊もあり得るでしょう」とコメントしている。

朝日は厳正な対処を検討中

   新潮社は09年に入り、楽天や野中広務元衆院議員などとの裁判で敗訴、立て続けに損害賠償を命じられている。度重なる名誉棄損に「少しは反省してもらいたいと思います」としたのは大相撲の貴乃花親方夫妻。遺産相続トラブルや八百長など5つの記事を「裏づけ取材がない」として、東京地裁は09年2月4日、同社に損害賠償を命じた。ここでは「出版社社長は名誉棄損などの権利侵害を防ぐ責任を持つ」として、同社社長個人の賠償責任をも求める異例の判決を受けている(現在控訴中)。

   今回の「手記」はどうなのか。サンデー毎日(09年3月8日号)では、紀藤正樹弁護士が「(手記は)損害賠償の対象にはなりにくいという判断があったのだと見ています」と名誉棄損訴訟は難しいとの見方だった。

   だが、朝日新聞は09年2月24日付けの朝刊で、「手記」の中で島村氏の「指示役」とされた元米国大使館員の男性(54)が同23日、同紙記者の同行のもと新潮社に抗議し、訂正と謝罪を求めたと報じた。男性は同17日に「犯行の指示役に仕立てあげられた」と、朝日に連絡をしてきたという。

   J-CASTニュースが朝日新聞社に、男性もしくは同社は新潮社への法的措置を検討しているのかについて取材したところ、

「新潮社に抗議した男性が法的措置を検討されているかどうかについては分かりません。弊社としては法的措置に出るかどうかも含め、厳正に対処することを検討しています」

と答えている。