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鳩山総務相のパフォーマンス炸裂 東京中央郵便局再開発にも異議

   かんぽの宿に続き、JR東京駅前の東京中央郵便局(東京都千代田区丸の内)の再開発が、日本郵政の「民営化見直し」の新たな争点に浮上してきた。鳩山邦夫総務相が2009年2月26日の衆院総務委員会で、東京中央郵便局について「国指定の重要文化財になる価値のあるものが工事によって価値がなくなれば国家的損失になる」と再開発に異議を唱え、かんぽの宿に続くテーマにする構えを見せたのだ。マスコミがこの問題に飛びつくのに気をよくしたのか、週明け3月2日には大勢の記者やカメラマンを引き連れて現地を視察して「こんなに壊されているのか」と大げさに嘆いてみせるなど、からだ。

総務相は株主としての権限を行使することで、見直し求める

   かんぽの宿問題の追及で脚光を浴びる鳩山総務相は「重要文化財になるものをなくすのは、トキを焼き鳥にして食べるような話だ」とボルテージを上げ、マスコミの注目を集めた。

   1931年に完成した東京中央郵便局は、モダニズム建築の代表作として、保存を求める声が超党派の国会議員や学識経験者の間で起きていた。将来的に国の重要文化財に指定される可能性もあるとされるが、実際にこれまで指定されなかったため、日本郵政が民営化の新規事業として、建物の一部を残しながら、高層化の再開発を09年夏から進める計画だった。

   国会で東京中央郵便局の再開発の是非を問うたのは、民主党の河村たかし氏。重要文化財の価値があるとの前提に立った河村氏の挑発的な質問に誘導される形で飛び出したのが、冒頭の鳩山総務相の答弁だった。言わば、行き掛かり上の答弁で、どこまで確信に満ちた発言なのか当初は疑問だったが、実は鳩山総務相はかんぽの宿に続き、東京中央郵便局の再開発に真剣に「待った」をかけようとしているようだ。

   かんぽの宿の譲渡は日本郵政が会社分割の形をとったため、総務相の認可が必要だった。しかし、東京中央郵便局の再開発に総務相の認可は必要ない。その点では今回、鳩山総務相の権限は及ばないことになるが、鳩山総務相は日本郵政の株主が100%政府であることから、株主としての権限を行使することで、見直しを求める方針のようだ。

塩谷文科相も同調の構え?

   政府・与党内では、早くも東京中央郵便局の保存と再開発見直しに向けた動きが出ている。鳩山総務相は翌27日の閣議をはさんで塩谷立文部科学相と会談。塩谷文科相は閣議後の会見で「重文指定の場合は(局舎を)かなり残さないと指定できない。どの程度残して建設するのかというのが一番のポイントになる。郵便局側にその意思が本当にあるのかということだ」と述べ、鳩山総務相に同調する形で、暗に日本郵政に再考を求めた。

   鳩山総務相は「重要文化財のような価値あるものに対する意識は高まってきている。そういうのは絶対大事にしなければならないと国交大臣もおっしゃった」と発言し、他の閣僚も巻き込む考え。「重要文化財の価値があるものがなくなってしまう。我が国がそういう文化小国であってはいけない。その点で私と文科大臣は完全に一致している」とも述べ、まずは重要文化財の指定について文部科学省の見解を求める考えを明らかにした。もしも東京中央郵便局が重要文化財に正式に指定されれば、再開発阻止に向けた外堀は埋められることになる。