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「かんぽの宿」は出来レース 鳩山総務相の主張いつ証明されるのか

   JR東京駅前の東京中央郵便局の再開発問題は2009年3月13日、日本郵政が局舎の保存部分を当初計画から倍増の約3割に拡大することで文化庁と合意し、一件落着となった。日本郵政はJR東京駅に面した局舎部分をほぼ残しながら、高層化を図ることになった。再開発後に登録有形文化財として申請し、文化庁も登録を認める方針だ。

3月上旬にも予定された中間報告の見通しは立たず

   年間100億円のテナント収入などを見込む日本郵政は、再開発の中断を最も恐れていた。このため、鳩山邦夫総務相が当初求めた重要文化財の指定は困難なものの、よりハードルの低い登録有形文化財として残すことで文化庁と妥協。文化財の保護と再開発を両立するため、約920億円の工事費は約50億円膨らむものの、スピード決着を図ることを優先した。

   「かんぽの宿」に続き、鳩山総務相の提起で東京中央郵便局の再開発も当初計画が「大幅見直し」となったが、肝心のかんぽの宿問題は、その後大きな進展が見られず、マスコミ報道も日増しに少なくなっている。これはどうしたことか。

   日本郵政は2月、かんぽの宿のオリックス不動産への譲渡契約を白紙撤回するとともに、入札に関する詳細な資料を総務省に提出した。資料はダンボール17箱におよび、総務省郵政行政部が調査・分析し、3月上旬にも「中間的な報告」を鳩山総務相に行う予定だった。鳩山総務相が声高に主張した「出来レース」ぶりを、総務省がどう立証するかが焦点となった。

   しかし、中間報告の見通しは立っていない。日本郵政が17箱の資料を提出した際も、鳩山総務相は「言い訳のオンパレード」と酷評したが、資料の中から具体的な不正が見つからない限り、「出来レース」と断定することは困難だ。鳩山総務相が自ら予告した中間報告が遅れているのは、提出資料の分析で「決め手」に欠けているのが理由のようだ。関係者によると、鳩山総務相は日本郵政がかんぽの宿のオリックス不動産への一括譲渡を白紙撤回したことで、「一応のけりをつけた」と認識しているようで、このままでは「出来レース」の真相解明は、フェイドアウトしかねない状況だ。

公社時代の不動産売却についても資料提出

   鳩山総務相は旧日本郵政公社時代の不動産売却にも不透明な点が多いとして、日本郵政に公社時代の不動産売却についても報告を求めている。日本郵政は膨大な資料を提出することにしている。総務省はこの資料提出を受け、前回同様に資料の分析・調査に当たることになる。

   郵政公社時代の不動産一括売却では、1万円の評価額が付いた鳥取県のかんぽの宿が6000万円で転売されていたケースなどが判明しているが、具体的な調査結果をまとめるには、なお時間がかかるとみられる。「出来レース」とされたかんぽの宿問題が本当に解明されるのか。時間の経過とともに総務省の調査が困難を極めれば、真相解明がうやむやになる可能性もある。