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宅八郎、ミクシィで「殺害予告」 批判の誇張なら許されるのか

   オタク評論家として知られた宅八郎さん(46)が、ミクシィの日記で実名を挙げて「ブッ殺します」などと書いて波紋を呼んでいる。過去にも雑誌などで同様なことを書いたことがあり、今回も相手への批判を誇張したものらしい。しかし、最近はネット上での「殺害予告」で逮捕されるケースが相次いでいる。今回の「殺害予告」は、許されるレベルなのだろうか。

実名を挙げ、「ブッ殺します」

「処刑宣告です。対応いかんですが、公開処刑を宣告します」

   宅八郎さんが2009年3月19日にミクシィに書いた日記は、こんな物々しい「宣告」から始まる。そこでは、さらに、オールアバウトにテクノポップ関係の記事を書いている会社員男性ガイドの実名を挙げ、「ブッ殺します」「『地獄行き』です」とまで書いたのだ。

   そして、この男性に対し、宅さんのすべての質問に対する答えを求めるつもりだとしている。宅さんは現在、そのための資料、文献探しをしているという。

   オタク評論家としての宅さんは、攻撃的な仕事ぶりで知られている。自らについて気に入らない書き方をされると、復讐と称して殺害予告のような「処刑宣告」をする。実際、同名の本も1995年に出版している。

   質問への答えを執拗に求めたケースとしては、長野県知事時代の田中康夫さんの記者会見に乗り込んで突撃公開質問を行い、話題になったことがある。

   今回の「殺害予告」も、同じような流れなのだろうか。

   宅さんは、3月21、23日にも日記を更新し、今回のことについてさらに詳しく書いた。それによると、きっかけになったのが、総合情報サイト「All About(オールアバウト)」に07年11月5日付で掲載された会社員男性ガイドの記事「アキシブ系~侮れないアニソン」。この記事では、秋葉系と渋谷系とのミックスともされるアキシブ系についてPerfumeなどの音楽を中心にして解説。宅さんについては、その中では、「秋葉系」の属性に分類されていた。そして、「秋葉系というのは、確かに秋葉原という街で見かけそうな物や人です」などと紹介している。

板倉宏教授「脅迫罪に問われる可能性」

   宅八郎さんの2009年3月21、23日付ミクシィ日記によると、宅さんは、「渋谷系」という言葉に疑問を持ち、遠くて違和感があるとして、その方面に問い合わせるなどしていた。そこで、「アキシブ系」という言葉を聞き、意味不明だと思って調べたところ、宅さんの名前が書かれた前出のオールアバウト記事を見つけた。この記事は、アキシブ系の文献・記述として、「極めて非常に重要」とされていたという。

   記事を書いた会社員男性については、関西で何回も会って食事もし、記事掲載前の07年9月には、イベントで共演したりしたという。しかし、宅さんは、なぜか怒りを露わにする。

「完全な確信犯としか思えません。今さら一切の言い訳させません。それ以前にも彼とは会って、ボクの人柄やファッション、メガネ、DJなどなどの属性を知った上で書いたわけですから」

   その結果、無視されたり、上から目線で言われたりしたことを思い出し、その物言いや態度についての違和感を確信。そして、オールアバウト記事について、「『上から目線』の人の文章」だとして、その影響力を問題視しながら、男性やオールアバウトを罵倒している。そのうえで、宅さんは、社会的責任を指摘して、男性の退社やオールアバウトの全面閉鎖も求めている。

   こうした宅さんの執拗な攻撃を考えたのか、オールアバウト記事は現在、削除されている。同社の広報部では、「理由は聞いていませんが、ガイドの希望で削除しました。トラブルなどは聞いていません」としている。一方、会社員男性は、「非常にセンシティブな状況ですので、お答えできないことをご理解下さい」と話している。

   「殺害予告」といっても、今回も相手への批判を誇張したとみられる。しかし、ネット上での殺害予告については逮捕者が相次いでいる。今回のケースについて、日大大学院法務研究科の板倉宏教授は、「誇張のようなものだとしても、脅迫罪に問われる可能性はあると思います」と話す。

   宅さんは、「殺害予告」日記を書いたことについて、こう説明する。

「批判や批評についてではなく、常に上から目線なのに怒っているのですよ。相手とは、共通の友人を介して、話し合いをしています。『殺害予告』は、出版では19年前からやっていることで、それ以来変わらない表現です。人体や肉体的生命について言っているわけではありませんが、逮捕されることも覚悟したうえで、相手を社会的に抹殺すると言っているだけです」

   日記のタイトルを「予告です。」から「『殺害』予告です(笑い)。」に変えているが、これについては、「予告だとイベントの告知みたいだと思ったので、より強い表現にするために、殺害という言葉を入れました」と説明する。今後については、ミクシィの日記で更新を続け、「オールアバウトにある(会社員男性の)多くの原稿にも触れ、さらに(男性以外の)項目についても、問題が相当あると指摘します」と話している。