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海外で人気の日本産ウイスキー 国内でも若者に復活の兆し

   日本のウイスキーが海外で脚光を浴びている。2008年の輸出量はニッカが前年比43%増、サントリー12%増と健闘した。一方、ビールや安い発泡酒に押され気味の国内でも、復権の兆しが見えてきた。サントリーは若い女性に向けた企画を強化するなど、ウイスキー再建は若者を取り込めるかにかかっている。

輸出量はニッカ前年比43%増、サントリー12%増

   ニッカの08年ウイスキー輸出量は前年比43%増の2万2000ケース(1ケースは700ミリリットル入り12本分)で、欧州を中心に大きく伸びた。

   07年から3年連続で、同社のウイスキーが英専門誌主催コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」で世界最優秀賞を受賞したことが、評価されたらしい。「竹鶴21年ピュアモルト」が07年と09年にブレンデッドモルトウイスキー部門で受賞、08年には「シングルモルト余市1987年」がシングルモルトウイスキー部門で受賞した。

   海外で脚光を浴びるようになった理由について、広報担当者は、

「昔ながらの日本独自の製法を守りつつ、原酒造りとブレンド技術にさらなる磨きをかけています。特別なことをしたというよりは、日々の積み重ねが少しずつ評価されるようになったのでしょう」

とみている。

   サントリーが発売する「山崎18年」「山崎12年」も09年3月、米業界誌主催のコンテスト「SWSC」で最優秀金賞を受賞した。山崎ブランドは03年に英コンペ「ISC」で金賞を受賞して以来、05年、06年、07年と連続して海外酒類コンペで表彰されている。海外での知名度が上がるにつれて輸出量も伸び、08年は前年比12%増の9万1000ケース、そのうち山崎は同80%増の1万8000ケースに増えた。

   ビールや安い発泡酒、第3のビールに押され気味の国内でも、復権の兆しが見えてきた。07年まで年々縮小していた国産ウイスキー市場は、08年の国内出荷量が前年比100.1%の723万ケースと水面上に顔を出した。

   ニッカでは「ブラックニッカクリアブレンド」を始めとする家庭用の需要が伸び、08年国内出荷量は前年比7%増の185万ケースだった。

若い人を取り込めるかが、ウイスキー復権の鍵

   一方のサントリーは、08年から若い女性に向けた企画「ショコラとモルトのマリアージュ」をホームページで展開するなど、若者層への浸透を強化している。

   チョコレートとウイスキーの相性は良く、「山崎」のように熟した甘みのモルトには「ミルク系」が、熟甘感のある「ザ・マッカラン」には「ビター系」、ふっくらした甘みの「白州」には「柑橘系」が合うそうだ。

   また、山崎に比べて手頃な価格の「角瓶」をソーダ水で割り、「角ハイボール」という飲み方をテレビCMで流したところ、若者層にうけて、08年1~12月の「角瓶」の販売量が前年を上回った。特にレギュラーサイズ(700ml)は前期比113%と大きく伸びた。

「今後、若い人を取り込めるかが、ウイスキー再建の大きなポイントになります」(広報担当者)

   手頃な価格の「スーパーニッカ」を09年3月にリニューアルしたニッカも、若者の取り込みを強化していく考えだ。

   都内にはウイスキー入門者でも楽しめるウイスキー専門バーもある。

   「日比谷BAR WHISKY-S」(東京・銀座)の店員は、

「20歳代後半から50歳代と幅広いお客さまがいらっしゃいます。ウイスキーをほとんど飲んだことがないが、興味があって来たという方も最近増えていて、入門者でも飲みやすいウイスキーのカクテルを用意しています。1度来てみたら気に入って、常連になる方も多いんですよ」

と話している。