J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

低視聴率にあえぐ中居「婚カツ!」 なんと録画ランキングでは大人気

   フジテレビ系ドラマ「婚カツ!」の視聴率が10%を切り、「月曜9時(月9)ドラマとしてはあり得ない低迷ぶり!」などとメディアからバッシングを受けている。しかし、録画ランキングではトップ10の上位に位置する大人気だ。録画を含まない視聴率ランキングと、録画ランキングを比べると、ランキング上位の顔ぶれが違う。デジタル家電が普及し、録画した番組を見る人が増えている現在、「視聴率ランキングは当てにならない」と指摘する専門家もいる。

東京ニュース通信社の調査では3位、翌週は7位

   人気グループ「SMAP」の中居正広さんが11年ぶりに主演している「婚カツ!」。月曜9時放送で、高視聴率が期待される時間帯だ。ビデオリサーチの調査によれば第1話は16.3%、第2話11.2%、第3話9.4%と低迷。「月9史上最低の視聴率」だと多くのメディアからバッシングを受けた。

   一方、インターネットの掲示板やブログを検索すると意外に評判がよく、かなりの人が楽しみな番組に挙げていることがわかる。ソネットが運営するサイト「Gガイド.テレビ王国」のコメントランキング(ドラマクチコミランキング)では1位になっていて「『婚カツ!』が今一番楽しみなドラマです」といった評価が並んでいる。

   実はこの「婚カツ!」、予約録画率が非常に高い。雑誌「TVガイド」を発行する東京ニュース通信社の調査によれば、09年4月27日から5月3日の一週間に関東地区で放送された番組中の3位。翌週は7位。「Gガイド.テレビ王国」の調査では、5月4日~5月10日に放送された全国の番組(地上デジタル・アナログ、BSデジタル・アナログとスカパー!・スカパー!e2)で3位。翌週が4位になっている。つまり、「婚カツ!」は録画して見られることが非常に多いのだ。ちなみに、ビデオリサーチの調査には録画は含まれておらず、録画率ランキングと、ビデオリサーチのランキングは、ベストテンの顔ぶれがかなり異なっている。

   ソネットが録画率の調査を始めたのは10年程前から。調査方法は同社の「Gガイド.テレビ王国」にある番組表を利用して行われている。視聴者がパソコンを使い同サイトにある番組予約のボタンをクリックすれば、パソコンに録画される仕組みで、その録画予約数でランキングを出す。09年3月からはHDDレコーダーにも録画予約ができるようになった。現在は月間で700万件以上の録画予約が行われている。

   ビデオリサーチの調査は、自宅にいてテレビをつけなければ視聴率に換算されない。しかし、学生や仕事を持っている人は外出していることが多く、見たい番組は録画して見るのが一般的だ。そのため、自宅で直接テレビを見ることで計算される視聴率では正確さに欠けるのではないか、という議論がこれまでも度々起こっていた。

NHKの視聴率が高い理由は高齢者が多いから?

   朝日新聞(09年5月9日) のコラム「私の視点」に、広告制作コンサルタントの赤羽紀久生さんがテレビ視聴率に関する意見を寄せている。デジタル家電の普及した今、

「視聴率は番組に対する絶対的な評価としては機能していない」

というのだ。赤羽さんの家では殆どの番組を録画してから視聴する、というスタイルになっていて、良い番組や、興味がある番組だからこそ録画をすると説明している。また、このところNHKの視聴率が高いのは、デジタル機器を使わない高齢者が多いからだとも指摘。時代にあった視聴率の調査方法に変えなければいけないと強調している。

   こうした見方に対し、ビデオリサーチはどう考えているのか。同社広報は、何をもって正確な視聴率なのかは様々な解釈がある、とし、

「調査方法をどうするかは、テレビ及び広告関係者などの業界のコンセンサスを得た上で決めなければならない問題。録画率を調査に加えるかどうかについては、まだ何も決まっていません」

と話している。