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「お酢」でメタボ予防ができる? 「内臓脂肪」「血中中性脂肪」が減った

   メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防に「お酢」が注目されている。お酢をとり続けると、内臓脂肪と血中中性脂肪が減ることがミツカンの臨床試験でわかった。体重、BMI(肥満度)、腹囲の数値も下がった。メタボに効くかはさておき、続ければ健康によさそうだ。

大さじ1杯の「お酢」で腹囲-1.43cm

   ミツカングループ本社中央研究所は25~60歳の男女175人(男性111人、女性64人)に12週間お酢を摂取させ、内臓脂肪、血中中性脂肪、腹囲の変化を調べた。対象者は、平均体重74.4kg、BMI(体重/身長の2乗)が25~30、血中中性脂肪が100~250mg/dlで、日本肥満学会が定める「肥満」の部類に入る。

   1日あたり食酢15ml(大さじ1杯)を摂取する群、食酢30ml(大さじ2杯)摂取する群、プラセボ(擬似食品)を摂取する群の3つのグループに分けた。

   食酢は500 mlの飲料に入っていて(プラセボは乳酸入り)、対象者は自分がどれを飲んだか知らない。食事は各自で摂り、激しい運動はせず普段通りに生活した。

   接種開始から12週間後にCTスキャンを行い、腹部の脂肪面積を測定した。(1)食酢15mlを摂取した群(2)食酢30mlを摂取した群(3)プラセボを摂取した群の変化量(平均値)はこうなった。

(1)体重-1.17kg、BMI-0.43、腹囲-1.43cm、内臓脂肪-5.43平方cm、皮下脂肪-5.73平方cm、血中中性脂肪-28.2mg/dl
(2)体重-1.94kg、BMI-0.72、腹囲-1.85cm、内臓脂肪-6.72平方cm、皮下脂肪-6.56平方cm、血中中性脂肪-42.0mg/dl
(3)体重0.39kg、BMI0.14、腹囲0.21cm、内臓脂肪2.73平方cm、皮下脂肪-0.22平方cm、血中中性脂肪-3.1mg/dl

   もっとも減少幅が大きかったのは、食酢30mlを摂取した群。次いで食酢15mlの群に変化がみられた。一方、食酢を摂取しなかった群は全体的に数値が上がっている。皮下脂肪と血中中性脂肪が減ったが、これは普通に生活していても起こり得る「誤差範囲」だ。結果は2009年5月14日に発表された。

摂取をやめると、「すっかり試験前の数値に戻った」

   メタボリックシンドロームとは、余分な内臓脂肪がつくことで、高血圧、糖尿病、高脂血症を併発し、ひいては動脈硬化を引き起こしやすくなる。

   厚生労働省の国民健康・栄養調査結果によると、40歳~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームか、予備群だ。

   ミツカン広報室の担当者は、

「内臓脂肪や血中中性脂肪への効果が確認され、メタボリックシンドロームの予防と、軽度の場合は改善も期待できます」

と話している。

   しかし、13週目からお酢の摂取をやめると、16週目には「すっかり試験前の数値に戻った」。このとき、15ml摂取した群よりも30ml摂取した群の方が戻りは早かった。維持するには、お酢をとり続ける必要があるようだ。

   ミツカンによると、有効成分はお酢の主成分「酢酸」なので、リンゴ酢、穀物酢、米酢、黒酢、どれでも同じ効果がある。ただし、お酢をそのまま飲むと胃やのどが荒れてしまう。水やお湯で5倍以上に薄めて飲むか、酸っぱさが苦手な人はジュース、牛乳と混ぜたり、ハチミツを加えると飲みやすくなる。酢酸は熱に強いので、料理に使っても効果は同じだ。

日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長は、この試験結果について、
「昔からお酢が健康にいいと言われています。それが科学的に示されたということは意味があると思います」

とした上で、

「しかし、いずれの項目でも変化の幅は小さいです。例えば内臓脂肪の場合、正常な人で50~70平方cm、メタボリックシンドロームの人は120、130平方cmあります。このうち5、6平方cmがなくなったところで、微々たるものです。20平方cmくらい減少すれば注目に値しますが・・・」

といい、メタボの改善に効果があるとは言えないようだ。

「以前、行われた動物実験で、お酢を摂取するとエネルギー代謝が高まり、脂肪の合成を抑えられるという結果が出ました。太めの人がお茶代わりに薄めた酢を飲み続けることで、多少の減量効果はあるかもしれませんね」