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「核兵器の作り方」 Q&Aサイトの回答とは

   Q&Aサイトには、真剣なものから冗談のようなものまで、様々な質問が寄せられる。その中で、ある利用者が「核兵器の作り方」を質問していたことが分かり、ちょっとした波紋を広げている。この質問に対しては、原料などを列挙し、大まかな作業工程を示した回答が寄せられ、「ベストアンサー」に選ばれた。ネット上の情報を参考にした爆弾の製造などが問題化する中、この回答で兵器は作れるのだろうか。

「すると核分裂が起きてドカン!」

   話題になっているのは、大手Q&Aサイト「Yahoo!知恵袋」の中での質問。ある利用者が、

「核兵器の作り方を教えてください 念のためいっときますが 別に作ろうと思っているわけじゃありません」

という質問を寄せたのだ。

   実際、ネット上の兵器関連情報をめぐっては、様々な事件が起きている。例えば、08年9月に皇居に爆弾を打ち込んだとして逮捕・起訴された元陸上自衛官の男は、動画共有サイトで「爆弾製造動画」を見たのを機に爆弾製造を決意。当初は牛乳瓶に火薬を詰める程度だったのだが、じょじょに火薬の量が増えるなどしてエスカレート。河原で爆発実験を行い、その様子を撮影し、同じ動画サイトに投稿したことなどを警察の調べに対して明らかにしたという。

   また、09年2月には、ネット上の情報をもとに爆弾製造を企てた高校生が、殺人予備の疑いで逮捕されている。爆弾自体は未完成だったものの、押収された原料などから、仮に爆弾が完成した場合は、家を1軒吹き飛ばすほどの威力があったと見られている。

   核兵器の場合はどうなのか。

   前出の「核兵器」に対する質問に対しては、1件だけ回答が寄せられ、「ベストアンサー」に選ばれた。その内容は実に淡々としたものだった。

「とりあえず、ポロニウム、ベリリウム、プルトニウム、アルミ箔、ウラン、火薬、電気式雷管32個をご用意ください。球状のポロニウムをアルミ箔で包み、ベリリウムで覆います。それを球状にしたプルトニウムの中心におき、さらに天然ウランのダンパーで包みます。それを高性能火薬で取り囲みます。そしてこの火薬に点火し、その衝撃波でプルトニウムの球をギュッと押し縮めます(爆縮という)。すると核分裂が起きてドカン!」

原料を集めるのも、加工するのも無理?

   もっとも、この中に出てくる原料を見ただけでも、ベリリウムは毒性が極めて高い上、ポロニウムは自然界には、ごくわずかしか存在しない。プルトニウムの入手も極めて難しい。これを見ただけでも、一般市民が兵器製造をすることは不可能だと言えそうだ。さらに回答は、追い打ちをかけるように、このように続く。

「・・というのは簡単ですが、実際に行うのは極めて難しいです。なぜならプルトニウムを爆縮する際には、完全に均一に押し縮めなくてはならないからです。これは例えるならば、オレンジを、一滴も汁を飛ばさずに小さく握りつぶすようなものです。あるいは、ピンポン玉を凹ませずに、球の状態を保ったまま握りつぶすようなものです」

   いわば、当然のことながら「原料を集めるのも、加工するのも無理」と言うことなのだが、最初の質問をした利用者は、

「様(編注: 「要」の誤変換?)は核物質を圧縮すりゃーそれでいいんですね ボロニュウムってほんとにあるんですか?シャレじゃなくて?」

と、ややピントが外れた返信をしている。

   これらのやりとりは、実は06年9月に行われたもので、3年近く前のものだ。どういう訳か最近になってネット上での注目度が上がり、今では4万回近いアクセスが寄せられている。